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駅前の風景を変えた、1台のキッチンカー

僕が普段乗っている電車の沿線の、とある駅の前にキッチンカーが来るようになりました。そのお店は、たこ焼き屋さん。

この数ヶ月で、上の子はタコ以外なら食べられるようになり、下の子もみんなが食べているのを見ているからか、「タコ、あむー!」と言って、タコ抜きのたこ焼きを食べるようになりました。

(あむー、は“食べたい”の意。食(は)むという言葉があるから、あながち間違っていな・・親バカやかましい笑)

そんな美味しいたこ焼き屋さん、実は、家族でファンとして、追っかけのように、お世話になっているお店なのです。これまでも近くで営業されていたはずですが、この半年くらいで一気に僕たち家族の胃袋を支えてくれる存在になったのです。

ある日、仕事から帰る途中、妻から「今日も来てるみたいだから、買って帰ってきてー」との連絡が。途中の駅で降りるというのは普段やったことがなかったし、それこそ習慣になっている通勤において、とても緊張感あるタスクでした(笑)

しかも妻からは「もう注文したから、焼いてくれてるよー!」との続報が。これは失敗できません。普段なら眺めることのない車窓からの景色を凝視すること数駅・・目的駅に到着しました。

改札を出て出口に向かうと、見覚えのある袋を下げたスーツの男性がすれ違いました。心なしか、表情が明るく、嬉しそうでした。

駅前は広場のように開放されていて、街路樹の周囲にはベンチが設えられています。そのベンチに座っていたカップルが、楽しそうに何かを食べていました。

部活終わりに見える高校生くらいのグループが、到底足りないだろうに一つのパックから、何かを頬張っていました。

少し遅くなった保育園のお迎えの帰り道なのか、自転車に乗った親子が何かを大事そうにカゴに入れて通り過ぎました。

駅からキッチンカーまでの僅かな距離でも、こんな景色が見えるのか、とハッとした瞬間でした。

キッチンカーに向かうと、顔馴染みになった店主さんが、味の確認をしてくれました。この店のたこ焼きは、ソースのほか、醤油、塩レモン、味噌、梅があります。味噌と梅は仕込みがとても大変らしく(ただの味噌ではなくいろいろ混ぜてあって手が込んでいる)、滅多に食べられません。

注文していたこともあり、アツアツ。お金を渡して、袋に入れてもらって、意気揚々と駅に戻りました。きっと自分もさっきのビジネスマンのようだったかも。

手元からたち登るたこ焼きの香りを感じながら、電車に乗って帰りました。

帰宅して、塩レモン味のアツアツを頬張ると、しっかりと主張するタコの美味しさと、絞ったレモンが爽やかでした。とろりとした生地は、いつ食べても優しい出汁の香り。

子には定番のソース味。これも安定感のある、たこ焼き本来の味。美味しくて、ひとつも分けてくれないから確認できませんが(笑)

その日は、2つ注文して買って帰ってきたのですが、袋の中にはもう一つパックがありました。それは、たこ焼き屋さんからの「おまけ」でした。

何やら慌ただしく手渡してくれたような気がしていましたが、そういうことだったのか・・帰宅して気がつきました。僕ではなくて、妻が。

店主さんの心遣いに嬉しくなって、そのパックのたこ焼きも熱いうちに食べてしまいました。

そんな、たこ焼き屋さん、週末にはほかのキッチンカーと一緒にランチタイムに来てくれるので、家族で出かけることが増えました。

キッチンカーが停まる場所にはビジネスホテルがあって、レストランやロビーを食事の場所として、開放してくれます。その様子がだんだんと広まり、時にはキッチンカーに行列もできています。

「ここは売れるんですか?」

たこ焼き屋さんに、野暮なことを聞いたことがあります。

「売れるよ。まとめ買いする人が多くてさ、並んでいる人数よりも多く出ちゃうんだよー」と嬉しそうでした。

週末のランチタイム、たしかに、たこ焼きに限らず、クレープ3つとか、オムライス2つとか・・家族のために買っている様子を何度も見かけました。かき氷2つを持ち帰りなんて人もいましたね。

お店の味が、キッチンカーになって近くに来てくれる、それはなかなか思うようにならない状況への、代替手段だと考えていた時期がありました。

しかし、今ではそれは間違いであったと断言できます。代替なんかでなくて、僕たち家族には必要な出会いでした。

キッチンカー来るって!

これで週末のランチは決まり。子どもは持ち前の社交性を発揮し、次々に“ともだち”を増やしています。キッチンカーの方々、ホテルの方々、子どもを通して多くの人と関わることで、街がどんどん見えてくる気がします。

なにより、僕たち家族は、
美味しくて、楽しくて、幸せになれるのです。



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