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虫の声を聞ける民 #書もつ

生き方、自己啓発、そんなジャンルに並ぶ本たちを見るにつけ、生きるって難しいというか、大変なことなんだよなぁと思ってしまいます。

自分はこの性格だから、と勝手に思い込んでいたり、そもそも考え方が合っていなかったり、個人差のある人生だからこそ、となりの芝生が青く見えるもので。

こういう本、好き嫌いがあって、読んでも意味がないと感じている人と、読むべき本だと感激する人がいるものです。気持ちを変えるために、単に言葉によって励まされるために読む、僕はそんな読み方をしています。

この筆者、いつもタイトルにドキッとさせられます。

今日、誰のために生きる?
ひすいこたろう

このタイトルを見て、これは利他の精神を説くやつかな?と思ったのです。今日は妻、明日は子ども、明後日は上司、みたいに自分だけじゃなく他人を大切にして生きよ、なのかなと。

読んでみたら、全然違ってました(笑)

むしろ、逆でした。

タイトルの「今日、誰のために生きる?」はアフリカのとある村での挨拶。自問自答のように、今日も元気?俺は元気。と言うように、「今日は、誰のために生きる?俺は自分のために生きるよ。」と続きます。

なーんだ、そういうことか・・。と、ちょっと残念に思ってしまった方はいるでしょうか。僕も、同じでした。でも、これがとっても大事なのに、今の日本人にはなかなか実践できていないのでは、と思わせられるのです。

ペンキ画家として活動している方が、その創作の勉強のために訪れたのは、アフリカのブンジュ村。そこでは、人々が心から幸せに暮らしていて、日本人であることが誇りであり、恥であったことが書いてありました。

登場する村は、日本から遠いアフリカの地にあるにも拘らず、村長が驚くべきことに日本を知っていたのです。知っているどころか、お正月にはお餅も食べるのだとか。そもそも村の人たちは皆、日本から学んだと口にしていました。

幸せに生きるとは、単なる気持ちの問題ではなく、行動で変えて行くことの実践例をみた思いでした。個人から家族、そして村人たちと広がって引き継がれる、幸せの考え方に触れられて良かったです。

その村の村長曰く、自然とともに暮らせること、それは自然の声を聞けることなのだとか。日本人は虫の声が聞ける。それはとても素晴らしいことで、そんな精神をもってしても、現代のように余裕なく働いているのが嘆かわしい、と語っていました。

1人の若者が、日本人として期待され、また失望された村での経験をこうして読めるのは貴重でした。昔の日本を思い起こさせるような、距離だけでなく時間も遠くなってしまった古い写真を見ているようでした。


綺麗でおしゃれなサムネイル、infocusさんありがとうございます!虫の声を、声として認識しているのは、日本人とポリネシア人だけなのだとか・・そう聞くと、ほかの国の虫たちの音が、想像できませんね。

#推薦図書 #SHOGEN #ひすいこたろう #虫の声

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