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ちょうだいませませ

シンガーソングライターの、さだまさしの曲に「雨やどり」という作品があります。曲名こそしっとりとしているものの、男女の出会いをコメディタッチで歌い上げている明るい曲です。それは、ライブで聴いたらさぞ楽しかろうという歌詞なのです。

初めて聴いたとき、音源の中に入っている聴衆の笑いに、心を掴まれてしまいました。おちゃらけているような内容だけれど、歌が上手いので、なんだか雰囲気も出てきて、綺麗に情景が広がって・・これぞ、さだマジック。(そんな言葉はない)

その曲の中には、いくつか特徴的な言葉が使われているのですが、とりわけ聴く者の笑いを誘ってしまうのは、「ちょうだいませませ」という語尾。

あの人に もいちど会わせて ちょうだいませませ

と神様にお願いしたり、

この人を お嫁さんに ちょうだいませませ

と家族にお願いしたりするのですが、文字にすると完璧にふざけています。ふざけているから、子どもたちにも受けが良いのです。

先日、家族でカラオケに行った時に、僕の数少ないレパートリーの中から、この曲を歌ってみました。すると、初めて聴いた曲にも拘らず、子どもたちは大いに笑っていました。そして、ところどころ(面白かった)歌詞を覚えていたのです。

とにかく面白いからという理由で、アンコールもかかるくらい。さらに、カラオケ後には日常的に「このあと何だっけ?」と歌詞を確認してくるようになったのです。

ただ・・「雨やどり」をリアルタイムでご存知の方は、僕よりも20歳以上は年上ではないかと思います。1977年に発表された楽曲なので、僕も生まれる前にできた曲なのです。


振り返ってみると、幼かった頃の僕は、「桃色吐息(高橋真梨子)」と「雪國(吉幾三)」を、たびたび口ずさんでいました。

当時は意味がほとんどわからないままに、言葉を羅列していただけでしたが、歌っていた記憶はあるし、実家には肉声を録音したカセットテープも残されていました。

成長してカラオケが流行り出して、大人たちが「懐かしー!」とか言っているなかで「知ってる!」ということがあったのです。

いま、我が子たちは「雨やどり」を口ずさんでいます。上の子は7歳なのでまあいいけれど、3歳児も口ずさんでいるのです。

それは、かつての自分と同じ。

きっと意味などあまり分かっていないし、聞こえてきたメロディーが頭に残っているから、それを再生しているだけなのかも知れません。

それを聴いた大人が、びっくりしたり笑ったりするから、満足するためだけに歌うっているように見えます。たまに、本人のアレンジが加わったりして(たいてい、”おしり”とか”おぱんつ”を追加して笑うパターン)、いつしか全く別の曲になってしまうこともありますが(笑)


そんなことを思い出して、改めて「雪國」の歌詞を見直してみると、自分が歌っていたはずの言葉ではない箇所がいくつかありました。

しかも「酔いたくて」とか「バカな女」とか、小さな男の子(当時)が使う語彙としては相応しくないものもありました。大人はそれを聴いて「可愛いのう」と思っていたのでしょうか・・。

それを思えばこそ、我が子たちが僕の好きな曲を覚えてしまうことは、嬉しいことでもあります。日頃から歌っている歌は耳に残るもの。カラオケに行けば、両親の歌う姿はなおさら新鮮に映るかも知れないですね。

カラオケ以来「牛乳ちょうだいませませ」などと、子どもが冗談めかして使うようになりました。

反対に、親が「早くお風呂に入ってちょうだいませませ」と言っても、全然響かないのですが(笑)


親として、言葉には出さないけれど、こう思っています。


雨やどりは、いい曲だから、ぜひ覚えなさい。



#雨やどり #さだまさし #カラオケ #家族 #記憶

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