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教育実習生を受け持つ時に大切にした事

 小学校教諭として正規採用になり7年目になりました。勤務校も2校目になり、初めて教育実習生を受け持つことになりました。
 初めてのことなのでどうするとより良い実習になるのか考えました。考えた末に、私が意識したのは、サッカースクール時代に上司が私に指導してくれた学び方でした。
 今回のnoteでは、私なりの教育実習生を受け持つときに大切にしたことをご紹介させていただきたいと思います。まだまだ、力不足の私の拙い考えですので、ご了承ください。

1.起きている現象を一緒に見る

 「とにかくいろいろ経験してごらんよ。」と現場で自分なりに経験をしてもらうことも大切かもしれません。しかし、知識や経験が少ない状態での「自分なりに」は、物事を見る視点や、起こった現象に対するスキルの少なさなど得るものは少ないのではないかと考えます。
 そこで、私は今起きている現象を一緒に「見る」よう心がけました。
 例えば、掃除。一緒に子どもたちに混ざって掃除をすることよりも、掃除をしている子ども達の姿を一緒に見て回りました。
 例えば、給食準備。自分の学級はもちろんの事、それ以外の学級の子どもたちの姿も一緒に見にいきました。
 起きている現象を一緒に見ながら、違和感に気づく。指導や評価が必要な場面に気づく。もちろん、私の視点がすべてではないです。しかし、一緒に現象を見て、見え方を共有することを大切にしました。
 また、このことは、起きている現象からどのような指導をすると子どもがどう変化をするのかを見る視点にも繋がります。

2.指導の場面を意識的に見せる

 現場では何か指導をしたら評価が必要ですし、その評価からさらに指導が必要になってきます。指導と評価の一体化というやつでしょうか。
 教育実習生も子ども達にプラスの言葉かけをするなど、自然と子どもたちに評価をし、指導をしています。急に学級に入った教育実習生でも褒めるという指導はしやすいです。しかし、褒める指導は言葉かけのみではありません。そのため、写真や動画を通した褒める指導、第三者からの評価を作るなど様々なスキルをできる限り実習生の前で見せることを大切にしました。
 また、教育実習生にとって叱る指導になるとなかなか難しいものがあると思います。私は声を荒げて叱るタイプではありませんので、自分が持っている叱るスキルを目の前で見せるようにしました。叱るは、行動の変容を生み、その先の褒めるまでがセットだと考えていますので、叱った後までも見せるようにしてきました。自分の学級の子以外とのつながりも、この指導で作ることができます。その場面も見せるようにしました。
 自分が持っているスキルを実習期間中になるべく目の前で使い、その意図をその都度伝えることを大切にしました。

3.職員室での姿を見せる

 現場で起こったことを自分一人で抱え込まず、管理職などに報告をすることは非常に大切です。これは自分の身を守ることにもつながります。ですので、その重要性を説明したのち、私自身が報・連・相をする姿を見せました。どのレベルで報告をしているのか。私は、自分の身を守るためだと思って、結構細かいことまで報告してしまうのですが・・・。
 また、電話対応もなるべく目の前でするようにしていました。電話の相手にとって聞かれたくないであろう内容のものがあれば、それは避けますが、あまり電話対応もしたことないとのことでしたので、職員室での電話対応についても見せて、電話の出方や、話し方など大切なことを伝えました。
 今は、保護者対応、地域の方からの電話など、その電話一本や報告忘れで信頼を失うこともありますので、職員室での姿を積極的に見せることを大切にしました。

4.私がすべてではないから

 実習期間は3週間でしたが、1週目は基本的に自分の学級へ、2週目はできる限りたくさんの先生のところへ、3週目は実習生が気になった先生のところへ見に行けるようにしました。教師の仕事は、その人が見てきたもの、経験してきたものが表れます。だから、基本は同じでも、そこに色づけられてきたものが違うので、考え方にも多少なりとも違いが生まれます。実際に現場に立つと、ゆっくり他の先生の姿を見ることは少なくなります。自分が気になった先生の立ち振る舞い方や、指導の仕方、それをたくさん見る機会を作ることも大切にしてきました。私のしていることがすべてではなく、私よりも、もっともっと良い指導をされる方は現場にたくさんいるので、それを見つけることも実習生にとって非常に大切な時間になります。

5.17時台には帰る

 実習生も私もお互い17時台には帰る。しかも、持ち帰り仕事はなしにを目標に実習期間を取り組みました。お互い少しの持ち帰り仕事はしましたが、3週間の実習期間中すべてお互い17時台に帰ることは達成しました。
 17時台に仕事を終えるために日中にどう仕事をするか。そのスキルは、テストの採点の仕方や、提出物の集め方、視覚支援を利用した指示の出し方、課題を出す順番、スケジューリングの方法などなど細かいところまでそのスキルを伝えたつもりです。
 早く帰って、仕事以外のところでも楽しむ。自分を高める。それは結果的に仕事につながるし、人生を楽しんでいる大人は子どもにとっても魅力的なのではないかと考えています。ですので、早く帰ることを大切にしました。

6.サッカースクール時代に学んだ学び方

 今回、教育実習生を受け持つときに意識したのは、サッカースクールにで働いていた時に、上司が私に指導してくれた学び方でした。
 私が初めてサッカースクールのコーチを仕事としてした時のこと。自分で考えてやったメニューで指導をしましたが、子どもたちの動きはイメージしていたものとは全然違ったものになり、とてもつまらなそうにサッカーをする子どもたちがいました。その時、上司から「オリジナルでやるな。」と言われたことを今でも覚えています。
 上司がやるスクールでは、子どもたちの動きは活発になり、ねらいに迫る動きがたくさん生まれ、なおかつ子どもたちはとても楽しそうでした。
 そして、「俺の言ってること、やっていることをすべて真似しろ。」と言われそのようにやった指導は、子どもたちが躍動感溢れ、とても楽しそうだったことを覚えています。
 上手くいくものをどんどんパクる。理想的な指導をする人のスキルや考え方を徹底的に真似することが大切なのだと感じました。
 それからのスクールでは、その人が何を喋っているのか、すぐ近くで聞けるように行動しました。次に何を考えるかを常に頭に入れて行動しました。
 上司のスクールに一緒に入ったとき、よく聞かれたのは、以下のようなことでした。

・目の前の子どもを見て「何か気づく?」「違和感ある?」
・「じゃあ、どうするといいと思う?」
・「だれが今いいプレーしていると思う?」

 目の前のことをその場で共有することを繰り返すことで、少しずつその人に見えている世界に近づくことができるようになってきました。だから、素敵だなと思う人を見つけたら、その人のことを真似て、同じ世界を見ることができるように、たくさんその人のことを見て学ぶ。そして、最後に自分の色を付け加えていくことが大切だと思います。

7.おわりに

 教育実習生が将来本当に先生になるつもりがあるのか?それに関して私はあまり意識していません。しかし、せっかく出会ったその子が社会に出るにあたって、少しでも来てよかったなと思ってもらえたらと思って実習生の担当をしました。また、私自身、実習生に話をすることで、日々の行動を言語化するとてもいい機会になりました。
 来てくれた実習生には、来年働く職場で、まずは素敵だなと思える人を見つけ、その人からたくさん学んで欲しいなと思います。
 最後になりましたが、読んでいただきありがとうございます。これから教育実習生を受け持つことになる方に少しでも参考になればと思いますし、他にもこんな視点も大事など教えていただければと思います。

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