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名前で呼ぶか?名字で呼ぶか?

日本では、公の場では、フルネームでなければ、たいてい名字を名乗るのが一般的だが、イタリアでは、公の場でもファーストネーム、日本で言う下の名前を名乗ったり、呼んだりということが多い。こう言うと、日本の人は、ああ、外国っぽいと思うのだろう。

たとえば、営業・宣伝などの電話でも「◯◯(社名)のマルコですが……」というようにかかってくるし、名乗らない場合に「お名前は?」と尋ねると、「マルコです」とファーストネームでたいてい答える。
日本人の感覚からすると、私的な電話でもないのに変なのと思わないでもないが、これは、オペレーターのプライバシーのための配慮でもあると聞いたことがある。
たとえば、店などで対応してくれた店員の名前を尋ねてもファーストネームで答えることは多いし、名札をつけている場合にも、記されているのがファーストネームだけということもよくある。

また、レストランや美容院などに予約する場合も、ファーストネームのみで告げることも多々ある。
さすがに、病院の検査などの予約はフルネームだ。そして、たいてい本人確認のために、生年月日や住所確認がある。

職場での呼び方は、人や立場にもよるとは思われるが、ファーストネームで呼ばれることが多い。
ここで、日本人的には、敬語を使う相手には、ファーストネームでも、名字でも、呼び捨てにすることはほぼないかと思うが、イタリアでは、敬語で話されているものの、名前は呼び捨てということも普通にある。

日本人の場合、幼少の頃は、お互いに下の名前で呼ぶのがほとんどだろうけれど、小学校に上がると名字で呼ぶことを教えられ、同級生のことを名字で呼ぶことも多くなるだろう。そして、徐々に、それほど親しくなければ、名字で呼ぶ率の方が多くなり、ファーストネームで呼ぶことは、より親しくなった証のように取られる風潮も見られる。

イタリアの場合は、ファーストネームで呼ぶことの方が多いので、相手の名字を知らないということもよくあり、逆に、ファーストネームだけではなく、名字も知っていると、より近しく思われる場合もある。
そして、イタリア人の名前のバリエーションは、日本人のそれよりも少なめなのか、友人・知人・身内・同僚・業者の人…等で、同じ名前の人が何人もいることが多々ある。そうすると、誰のことについて話しているのか分かりにくいので、その場合は、本人に呼び掛けるのはファーストネームだが、本人のいないところでその人について話す場合、名字をあげるということもよくある。

わたしの場合、姓名の文字数では、姓の字数が多く、ただでさえ外国人の名字は覚えにくい、発音しにくいところがあるので、たいてい、ファーストネームで呼ばれ、自分で名乗る時もそのようにする時が多い。
そして、イタリアで仕事ではなくてカジュアルでプライベートな機会に出会った日本人の方の場合は、まだ親しくなっていないうちから、イタリア方式にファーストネームで呼ぶことが多いのだが、それを日本にいる日本人の方にすると、やっぱり違和感を感じる方もわりといるようだ。
ただ、一旦、下の名前で呼び始めた後に、公の場でもないのに、名字で呼ばれると、それも、距離ができたように感じられ、居心地や感じががあまりよくないのも確かだ。



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