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実に世間は狭いものだ

ある日、インターシティ(特急)でご一緒していた方が下車した後、その席のチケットを持っていた男性が、わたしの前の席に移って来た。(購入時に、同乗者と近くの席が取れなかった場合、その席の人が来るまで座っているということはよくある。)
しばらくして、その男性は「日本人ですか?」と、たしかにわたしに日本語で尋ねた。「はい。日本語が分かるのですか?」と尋ねながら、日本好きで日本語を勉強していて、日本人と思われる人を見かけると話しかけたくなるパターンかしら?と見当をつけてみる。「日本語は少しだけ。でも、わたしの妻は日本人です」ほぉ、そのパターンでしたか。話を聞くに、彼はジェノヴァ出身で、以前はジェノヴァ在住だったものの、ミラノ方面に引っ越し、その日は出張で来ていて、ミラノへ帰るところだった。彼はイタリア国籍ではあるけれど、両親の片方は北アフリカの人だと。
ここまで聞いて、あ……彼の奥さんと思われる日本人女性の方のブログを目にしたことがあるぞ!と思った。ただの日伊カップルではなくて、このぐらい特徴的な情報があると、ほぼ一致しやすい。
そこで、「実は、奥さんかもと思われる方のブログを見たことがあるんですよ~」とは打ち明けなかった。もしかして、秘密でブログをしているということもあるかもなので。
結局、ジェノヴァに着くまで話していたが、わたしが先に下車したところでお別れ。
こういうことがあったと周囲のイタリア人に話すと、「連絡先とか交換すればよかったのに」とわりと言われるのだけれど、どうなのでしょうか……

またある時は、イタリア人の友人宅で友人のお母さんと話している時に、「実はね、わたしには日本人の親戚がいるのよ!」と言われて、写真を見せられながら名前を聞いた時に、あ、その名前で在住地がそちらの方だと、やはりブログ上で知っているかも?と思い、「その方、もしかしたらインターネット上で知っているかもしれません」と話した。友人のお母さんは喜んで「そうなの?連絡取る機会があったら、よろしく伝えてね!」と。
実際には、その時点では、第3者の方のブログに訪問しているどうしで、コメント欄でお名前を拝見してはいたものの、直接お互いのブログでの行き来はなかったのだが、「よろしく伝えてね!」と言われたので、それをきっかけにコメントをして、クローズされたコメントで事実確認をしたら、はい、ビンゴ!同一の方でした。
別の州にお住まいだったので、すぐに会えるということはなく、そちらに行く機会があった際に、お会いする約束はしたものの、急遽、残念ながらお見送りとなってしまった。
ただ、それから何年も経って、友人宅にご不幸があった際に葬儀に参列したところ、その方はいらしていなかったが、イタリア人のご家族が参列されていて、やはり友人のお母さんに紹介された。
「○○さんとメッセージで話したことがあるんですよ」「あ、母を知ってるんですか?」「はい、会えそうだった機会もあったのですが、まだ会ったことはなくて……」と、ちょっとした会話をした。

これは、例の一部だが、大陸間を越えてたまたま同じ人を知っていた!という出会いもあり、本当に稀にある奇遇なのだろうけれど、何か神秘的な偶然が起こることってあるのか?と思うほど、世間は狭いものだ。

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