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お見合いごっこ

学生時代と社会人の初めの頃、懸賞に応募して、色々なところに足を運ばせていただいた経験がある。その流れで、新聞の懸賞募集ページで見つけたのだと思うが、東京・銀座の結婚相談所がお見合いモニター体験のようなものを募集していたのが目に入り、どんなものかと社会科見学ぐらいの心持ちで応募してみた。今で言う婚活をしていたわけでもなく、そのシステムがなんとなく気になっていただけなのだが。

その以前にだったか、より大手のその手の企業のアンケートハガキに答えて、渋谷のオフィスビルに入った店舗で面談を受けたこともあった。おそらく、登録勧誘の前段階のフェーズで、どのぐらい関心があるか、差し迫っているかを探りたかったのかもしれないが、結局は「まだお若いし、これから色々な経験をしてみてね〜」と、世話好きでやり手そうなおしゃべり上手で明るいマダム(お見合いの仲介でいそうな雰囲気の)に言われた。それは、お金を出して登録する意志はなさそうだと思われたのだろう。(まさに、その通りだったが)

さて、その銀座のオフィスはメインの通りからは少し外れた場所に位置し、古いビルの何階かに入っていたと記憶する。名前が知れているような会社ではなく、もっとこじんまりとしたところで、内装も古びた感じで、あまり色気のない雰囲気だった。(華やかな銀座とは思えないような……)
ただ、老舗ではあるようなことは言っていたが。

わたしが足を運んだ際には、男女とも各3名の合計6名が参加していた。まずは、オフィスの大きめのテーブルの周囲に参加者とスタッフの方、こちらもマダムな雰囲気の方が2名ほど座り、会社の簡単な説明とその日のプログラムの案内、各自簡単な自己紹介をし、みんなで歓談。だいたい、マダムスタッフが司会のようにそれぞれに話を振り、合いの手を入れたりして、会話を進行させた。
それが一段落すると、スタッフ側で考えた組み合わせで、それぞれペアでパーテーションで区切られた応接ブースに移動し、決められた時間内(20分か30分ぐらい?)で会話をしコミュニケーションをはかる。
わたしとペアになった男性は3歳ぐらい年上の総務部門で働く方だったか?で仕事着のスーツ姿だった。中肉中背。わりと無口か口下手なタイプなのか、それとも、あまりわたしに関心がないからなのか、会話を進行させようという様子が見られないので、概ねわたしが何か質問して、彼が応えるという流れだったが、これは…「お見合い」というよりは、会社の面接みたいだな……と思った。話はあまりはずみはしなかったものの、与えられた時間は頑張ってなんとか話を引き伸ばした。
総当りのトーナメント方式?ではなく、結局、ペアで話したのは各自ひとりずつだった。
その後、また大テーブルに座り、総括のお話があり終了。
男性のひとりで、能役者だという方がいらした。野村萬斎さんというよりは、雅楽師の東儀秀樹さん風。能かぁ……とは思ったが、パッと見はそれなりの雰囲気がある方だった。その方だったら、どんな話をしたのだろうね?と、気になることは気になった。

後日、特に勧誘などの連絡もなく、そういう体験をしたに過ぎなかった。(入る気はなかったので、それでよかったのだが)
穿った見方をすると、もしかして男性は登録者で、女性が足りなかったのでモニター募集をしていたのだろうか?と思わないことも。

もし、それが登録者を増やすためのキャンペーンならば、もう少し雰囲気的に素敵な空間作りがされていた方が、参加者の気分は絶対盛り上がるようにも思われたが、肝心なのはやっぱり話がはずむかどうかかな?それは、スタッフの方のせいでもないだろうけれど、本番の際にはマッチングはかなり重要だろう、と。

モニター体験なので参加費用は無料だったが、もしかすると、むしろ交通費をいただいていたかも?


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