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読書記録 2024.3

3月はマラソンを走ったり、職場の異動内示が出たりで、慌ただしい1か月だった。
読書に集中する時間があまり取れなかったなあ。

河童が覗いたインド 妹尾河童

インドは広く、そして深い。
インドを覗くと、何が見えてくるのか?
人一倍の好奇心と行動力で“覗きの河童"がスケッチブックと巻き尺を携え、インドの大地を這いまわった。
下痢にもめげず、熱射病も乗り越え、体験したものは……。
細密イラストと手描き文字で、浮かびあがらせたインドの素顔。
上から下から斜めから、“生き生きインド"が見えてくる。
空前絶後のインド読本決定版。

友だちが貸してくれた本。
筆者が1980年代のインドを練り歩いて描いた旅行記。
この本、何がすごいって、すべて妹尾さんが手書きで書いているのだ!
イラストの話じゃなく、あ、もちろんイラストもなのだけど、本文がね、手書きなの!
色んなところを回って、色んな体験を書き記してくれていて、とても楽しく読める旅行記。
わたしもインドには行ったことがあるけれど、1980年代のインドはわたしの見たインドより、よりディープだったんだろうなあ。
妹尾さんに好感が持てるのは、毎回それなりのホテルに泊まっているところ。
インド旅行記って、とんでもインド発見!みたいな、数百円のホテルに泊まる系が多いけれど、相当お金のないバックパッカーでなければ、まあまあの金額のホテルに泊まるよね。
そういう、自分が旅行する際にも参考になるようなレベル感での旅行はとても臨場感があってよかった。

妹尾さんの「覗いた」シリーズは他にもあるみたいなので、読んでみようと思う。

黄色い家 川上未映子

2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。
60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。
長らく忘却していた20年前の記憶―黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。
まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな“シノギ”に手を出す。
歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい...。
善と悪の境界に肉薄する、今世紀最大の問題作!

こちらも友人に借りた本。
3月1日に、春のみみずく朗読会に行って、川上さんを生でお見かけし、なんと美しい女性かと目を見張った余韻に浸りながらの読書。
(春のみみずく朗読会については、いつか感想を別で書きたいな。)

もし、わたしが花の環境に生まれ落ちたとしたら、どんな人生を送るだろうか。
どれだけの選択肢があるのだろうか。
同じ国に生まれて、同じ時代を生きているはずなのに、こうも見えている世界が違う。
とにかくえぐられる作品だった。

金閣寺 三島由紀夫

寺が寝静まる。私は金閣に一人になる。

吃音の悩み、身も心も奪われた金閣の美しさ――昭和25年の金閣寺焼失事件を題材として、放火犯である若い学僧の破滅に至る過程を抉る問題作。

一九五〇年七月一日、「国宝・金閣寺焼失。放火犯人は寺の青年僧」という衝撃のニュースが世人の耳目を驚かせた。
この事件の陰に潜められた若い学僧の悩み――ハンディを背負った宿命の子の、生への消しがたい呪いと、それゆえに金閣の美の魔力に魂を奪われ、ついには幻想と心中するにいたった悲劇……。
31歳の鬼才三島が全青春の決算として告白体の名文に綴った不朽の金字塔。

わたしが開いている読書会の課題図書に指定されたので読んだもの。
この本を読むまで、金閣寺が焼かれたことがあっただなんて知らなかった。
この世界には、まだまだわたしの知らない歴史がうんとあるのだ。

最近、この時代に青年期を過ごした人達の生き様に興味がある。
戦争があって、たくさんの家族や友人達を亡くし、今まで押し付けられていた価値観を突然否定された世代。
そんなに簡単に人は変われないのではないか。
時代が急速に変化していく時代だからこそ、わたしは自分の頭で物事を噛み砕いていく訓練を怠らないようにしたいと思う。

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