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観葉植物よ、君の名は?

観葉植物の名前がわからないまま、四年が過ぎた
大学一年生の時、100円ショップで買ったもので、今でも長く寄り添う相棒のような子である。
でも、名前がわからない。なんということか!

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正確には、初めは名前がわかっていた。買った時には鉢に名札がついており、そこには植物の名前と、「明るいところを好みます」と書いてあったのだ。後者だけはしっかりと覚えている。

そうそう、この子を買ったころ、私は確か大学一年生だった。植物のある部屋に憧れていたのだが いかんせん貧乏学生なので、花屋にある大鉢には値段的に手が出せなかった。
「人間お金がないとなんともならん!」と思いながら入った100円ショップで「これなら買えるぞ」と手に取ったのが、ひょろりとした葉っぱが一本だけの小さな小さな鉢だったのだ。
アートボード 1

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一年ほど経った頃だったろうか。鉢も少しずつ大きくなり、植え替えが必要になった。
そして事件は起こる。土の入れ替えや底石やらに気を取られ、鉢に刺さっていた名前の札をぽいっと捨ててしまったわけである。。

その後部屋を何度探しても名札が見つからず、名前を思い出そうにも全く思い出せない。思い出せるのはカタカナだったということと、「明るいところを好みます」だけ。
ネットで検索するのもなんだか悔しく、そのうち思い出すだろうと思ってそのまま調べずにいた。

そこからは名前を知らないまま生活が始まる。

アートボード 2

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植物の名前を思い出すことなく月日はぐんぐん過ぎて行き、目をみはる速度で成長を続けた。
名前がわからなくてもすくすく育つ、なんと親孝行な子なのだろう。
あっという間に4年が過ぎ、背丈が私の腰を超えた。
そろそろ名前を知らなくては、と焦った私は、鉛のように重い腰をあげてネット検索を始めたのだった。(実に四年越しである)

…しかしなにやら【ドラセナ属】だということはわかったのだが、その先がなかなかピンとこない。
どの画像を見ても、サイズや葉の色が微妙に違っており、「うちの子とそっくり!」みたいな物が見つからないのである。
これでは種類が断定できない。なんということだ。検索すればすぐに分かると高をくくっていたものの、結局わからないじゃないか!


ショックを受けた私、ここならきっとヒントがあるだろうと書店に走った。(この時点で結構な混乱をしている)
書店で一番写真が細かい本から、やっと二種類のどちらかだろうとあたりをつけることができた。しかしここでも断定まではできなかった。
これからも名前を知らないまま過ごしていく切なさがこみ上げる。


…かくなる上は、直接聞いて見る。

「観葉植物よ、君の名は?」

美味しいお酒を一杯飲んで、そしてそのぶん幸せになります。一緒に呑みましょう。