見出し画像

人生最後の同窓会

先日お姑様から
「こんなのが来たのよね。どうしようかしら」と
一通のハガキを見せられました。

そこには、
「同窓会のご案内」の文字。

80歳超えの姑へ、故郷の同級生から同窓会のお誘いでした。

地元で4〜5年に1回開催されている、同窓会。
ここ数年はコロナの影響もあって、それ以上ぶりの開催だそうです。

「でも…、出席どうしようかしら。」
躊躇するお姑様。
地元に帰るとなると、新幹線を使っての長旅です。
一人で行くにはちょっと自信なさそうなご様子です。

でも、今回ばかりは行ったほうが良さそうですよ。

だって、そのハガキには

「これが最後の同窓会です。」の文字が添えられていたのです。

人生最後の同窓会。

インパクトのあるお言葉です。

80歳を超えた今回の同窓会。
次回は85歳超えとなるので、主催者も参加者も、
元気で楽しめるギリギリのラインが
今だと判断されたのでしょう。

「最後だから行かないと!」
ためらう姑を嫁としてプッシュします。

回を重ねるごとに減り続ける参加人数。
もはや今回、何人集まるのか分かりませんが、
姑なんてまだ足も動くし、同級生の名前だって
時間をかければ?ちゃんと思い出せます。

「でも一人じゃ荷物も持てないし、お土産だってどうやって…」
「荷物なんて送っちゃえ!送っちゃえ!」
ただ田舎に帰るだけでも心配事は山のよう。

でも、しばらく不安げにしていた姑も
数日後には「やっぱりせっかくだから行くことにしたわ」と、
ウキウキと洋服やアクセサリーを選んでいました。
幾つになっても、同窓会ってのはウキウキするらしく
とっておきのネックレスを出してくるあたり
姑も乙女です。

そして、彼女が旅立った数日後、
「いや〜同窓会楽しかったわよ、帰省してよかったわ。
モネちゃんが勧めてくれたおかげね。ありがとう〜!」
と姑から喜びの電話がかかってきました。

そのカスレた声に
『こりゃ相当喋り倒したね。』と盛り上がりを確信。

80歳超えの同窓会だから
「昔の話ばっかりで聞き飽きた」とか
「身体の痛いところや不調の話ばっかり」とか
誰かに言われることもなくそりゃもう話し放題でしょう。
何度も何度も昔を掘り起こして、そんなこともあったねと
お互いの記憶を確かめあったのでしょうか。

「冥土の土産が増えたわ〜」と皆で笑いあった
最後の同窓会、うらやましいです。

この記事が参加している募集

おじいちゃんおばあちゃんへ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?