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モンゴル国内におけるサッカー現場での活動

代表で海外遠征したことばかり書いており、
国内リーグに関しては概要と医療面を
はじめの記事でちらっと触れたくらいでした。


今回はまたちょっと代表の内容もありますが、
違った面もご紹介していきます。

途中に出てくる動画と、
”一番の楽しみ・やりがい”には
必ず目を通していただきたいです。

このnoteを始めるきっかけでもある、
一番伝えたいことを書きました。



プレー環境

モンゴルリーグには全部で30チームくらい
ありますが、試合で使用される
グラウンドは4つしかありません。

❶サッカー協会のグラウンド

リーグ戦の大半はここで行われます
救急車AEDなどがある唯一の場所。
他のグラウンドでは緊急時は
どうするのでしょうか。


❷ナショナルスポーツスタジアム

夏にはナーダムという国内最大の
スポーツ祭典が行われる場所です。

DERENというチームの本拠地であり、
試合は主にDERENのホーム戦時に使われます。


❸Erchimグラウンド

私が所属していたチームです。
ウランバートルですが、
少し離れたところにあります。
非常に硬いグラウンド。

相手チームにはプレハブ小屋を
ロッカールームとして使ってもらいますが、
自分たちはバスの中。

トイレはぼっとん便所だし、
水を持参しなければ、飲むものはもちろん、
手を洗ったり、傷の処置に使ったりする
水はありません。
非常に不便です。


❹エルデネトのグラウンド

モンゴルリーグでただ一つ地方にある
Khangaridというクラブチームの本拠地です。

モンゴルで国内で2番目に人口の多い
エルデネトという地域で、ウランバートルから
370 kmほど離れた所にあります。

4つの中では最も硬いグラウンドであり、
特に外国人選手はここでプレーしたその夜には
必ず身体のどこかに不具合を訴えてきます。
ただのコンクリートという感じです。

ちなみにここも近場には水道や
トイレ環境がありません。


全てのチームがホームグラウンドを
所有しているわけではないので、
練習が十分にはできない
クラブチームもあるようです。

それでも最近、ウランバートルの端の方に
UB cityというクラブチームや
トレーニングキャンプ施設としての
グラウンドが新設されたようなので、
今後はそこも利用するかもしれません。



国際試合

国際試合は必ずサッカー協会の
グラウンドで行われます。

ここ数年、EAFFやワールドカップ
アジア2次予選に進出したこともあり、
液晶ビジョンやロッカールームなどが
綺麗に整備されるようになりました。

普段のリーグ戦はロッカールームに
何もありませんが、国際試合の時だけ
軽食や湯沸かし器などを用意してくれます。


ちなみに代表のスタッフは多いときで7名。
(監督、アシスタントコーチ×2、GKコーチ、
マネージャー、医療スタッフ×2)
ドイツ人の監督、モンゴル人のアシスタント
コーチともう一人の医療スタッフは
日本語が話せるため、だいぶ助かりました。

アンダー世代に帯同した際は私を含め、
スタッフ3人しかいないこともありました。


2017年、U19チームをサポートしていた際、
際、AFC U-19選手権2018の予選
モンゴルで行われ、日本代表と対戦しました。

見れる部分は限られていましたが、
サッカーに取り組む姿勢が素晴らしく、
同じホテルのため、サッカー以外でも
感心する部分が所々に見られました。

日本代表のスタッフの方々とも
深く交流させていただき、
様々なお話を聞けて良かったです。

これでしか日本代表と関わることはないと
思っていましたが、
今回ワールドカップカタールアジア2次予選で
日本と同じグループになり、
2019年の10月に埼玉で試合が行われました。

モンゴルホームでの試合は、コロナの影響で
2020年3月31日開催予定が延期となり、
2020年10月13日に行われることが
先日発表されました(2020年6月6日時点)。

前回の記事にも書いたように現在、
私はサッカーを離れてしまったため、
ベンチに入ることはないと思いますが、
対戦する日を楽しみにしております。

もちろん日本代表を応援するにしても、
ぜひモンゴルに足を運んでください!



それから、この動画は絶対に見て欲しいです。


EAFF1次予選のグアム戦
予選リーグ最終戦で、上がるにはこの試合で
引き分け以上でないといけませんでした。

試合は0-0のまま進むが、
終了間近の89分にまさかの失点。
誰もが絶望を感じたかもしれません。

それでも選手たちは諦めていませんでした。
アディショナルタイムは4分。

そのまさに94分に
キャプテンTsedenbalの同点ゴール。

選手や観客の喜ぶ様子からわかるように、
60年のモンゴルサッカー史上で初となる
2次予選出場の歴史的快挙を成し遂げました。

このような機会に立ち会えることは、
そうないのではと思います。
あの時のベンチでの興奮は忘れられません。

この得点シーンは
何度見ても鳥肌が立ってしまいます。



クラブチームでの活動

途中でも話しましたが、
私は2017-19の3シーズンにかけて、
Erchimというクラブチームの
サポートをさせていただきました。

代表のアシスタントコーチでもある、
このチームの監督日本に留学経験があり、
日本語が堪能です。
その方のおかげでモンゴル語が
全くわからない状態でも活動ができました。

最初のシーズンは大学院生でもあり、
日中は時間があったため、
週に3回くらい練習に参加。

グラウンドからは離れていますが、
クラブハウスがあり、そこで選手のケアや
試合前のテーピングなどを行なっていました。

(この写真を撮られた時、なぜお互いにわざわざキツイ体勢でケアをしていたのかは不明です。笑)

2018シーズンからは大学教員の仕事も始まり、
主に試合の日だけ参加して、ケアや処置が
必要な選手は自宅でみるような形でした。

国内リーグの中では優勝常連チームであり、
他チームからは何とかしてでもErchimにだけは
優勝させまいと入念な対策をされるような感じ。
それでもこの3シーズンは
リーグ優勝2回準優勝1回
カップ戦優勝1回準優勝1回という結果で、
AFCカップ予選で北朝鮮チームとの対戦も
2度経験させていただきました。



一番の楽しみ・やりがい

さて、Erchimで活動していたわけですが、
正直自分のチームの勝敗には
ほとんど興味がありません。

もちろん勝つために、
選手が少しでもいい状態でプレーできるために
可能な限りのサポートはしていました。

それでも個人的に一番の楽しみは
日本人選手の活躍でした。
モンゴルリーグにも外国籍の選手が所属し、
毎年十数名の日本人選手も活動されています。

私のチームにも数名の日本人選手が
在籍しており、やはりどうしても
ローカル選手や他の外国人選手よりは
期待を持ってしまいます。

また、その他のクラブであっても
活躍してほしい気持ちがあり、
自チームとの対戦時でも
相手の日本人選手が得点を決めたら、
よくやった!と心の中で拍手を送っていました。笑

多くの選手からケアや怪我の相談なども
していただき、チーム関係なく
喜んで受けておりました。

このように応援したり、
サポートをしたりする一番の理由、
それは私と同様に異国の地で挑戦している
という共通点があるからです。

夢や目標に向かって挑戦をする人々は
非常に輝いていて、カッコイイですね。
つい応援したくなり、
少しでも力になりたいと思います。

また、今まで経験してきた数々の国での
エピソードを聞かせていただき、
それはまるで自分が経験したかのように
ワクワクさせてくれるものです。


それから、この3シーズンで何十人もの
日本人選手の身体を見てきて、
その全ての選手たちから
”日本人のトレーナーがいてくれて助かった”
と言っていただきました。

普段はモンゴル人を相手にしており、
それは私にとっては意外で大きな発見。


モンゴルにいる

”私にしかできないこと”

”私だからできること”

自分の価値や存在意義を
感じさせてくれる瞬間でした。


遅くても11月にはシーズンが終わり、
選手たちは日本や別の国へと旅立ちます。

毎年みんながモンゴルを離れていったときは
”あーぁ、みんな行っちゃったなぁ”と
心にぽっかり穴が開いたような気分になります。笑

でも何年か経っても近況を報告してくれたり、ケガの相談で連絡をいただいたりします。

果敢に挑戦をし続ける選手たちを
本当に尊敬するし、どこに行ったとしても
活躍することをずっと応援しております。



最後に

モンゴルに来るまでは、プロサッカー選手
として海外でプレーをするというのは
ヨーロッパだけだと思っていました。
実際はモンゴルを含むアジア各国に限らず、
様々な国で多くの日本人が活動していることを
知りました。

「その人たちを支えることができる、
そして感謝してもらえる」

これはモンゴルにいるからこそ、生まれてくる
価値であり、かけがえのないものです。

ネットに情報が山ほどあるけど、
世界に出てみないとわからないことは
それ以上にあると思います。
モンゴルに来て、非常に素晴らしい経験を
させていただいております。

「モンゴルで生活するなんて大変だね」
「よくモンゴルに行ったね、ツラいでしょ」
などと勘違いした言葉をかけられます。

たしかにトラブルや困難はちょくちょく
ありますが、それも異国で活動する
一つの醍醐味であると捉えているので、
全く問題ありません。

むしろそういうトラブルに遭遇したら、
ありがとうございます!って感じですね。
他の人にはない経験ができて、
ネタになるので。笑

私にとっては、やりがいや日常での楽しみを
見いだせない、ただ仕事をこなすだけの
毎日で、なんとなく平凡な生活を
日本で送っている方がよっぽどキツイです。

やはりどうしても金銭的には問題を感じる
かもしれませんが、それとは代えられない
日本で過ごしているだけだったら
絶対に経験できないことがたくさん。

これらを自分だけのものにするのではなく、
共有していこうと思いました。
全ては伝えきれないけど、私の経験や
見てきたものをnoteを通して少しでも
多くの方々に知ってもらえると幸いです。

そしてサッカー強豪国に限らず、
タイやカンボジアで活動されている
トレーナーの方々もいらっしゃいます。
同じように世界に挑戦するトレーナーが、
どんどん増えていくと面白いですね。


言葉が話せないから...

お金がないから...

経験や知識がないから...

このような言い訳をよく聞きますが、
海外に挑戦しない理由に全くなりません。
私がそうだったので。

海外挑戦だけに限りませんが、
少しでも興味があれば、
まず一歩飛び出してみる。
それでダメだとわかれば、
やめて戻ればいいだけ。

何もしないで悩み続けるというのは、
一番よくないと思います。

私は失敗したことがない。
ただ、1万通りの、うまく行かない方法を
見つけただけだ。 -トーマス・エジソン-


そう自分に改めて言い聞かせて、
今回はこれで終わります。



最後まで読んでいただき、
ありがとうございました!
ぜひ他の記事も見てみてください。


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