下鴨神社の森で
年末の12月29日、下鴨神社へ今年最後のお参りへ。
今年も一年ありがとうございました、という気持ちで訪れた。
もう引っ越してしまったが、以前は鴨川の近くに住んでいて、川を渡って下鴨神社へ散歩にいくのは、日常の一部だった。
日々目にする情景と、さらにその前に住んでいた南仏の景色を重ね合わせ、
まるでゴッホ やセザンヌになったつもりで、神社の森の中で複雑な陰影を描く木々の葉や、水辺のきらめきを眺めていた。
そんな風に物事をとらえ、それを文章にすることは、当時はとても自然なことだったし、むしろ題材が身近すぎるというか、ひどく単純なことのように思えた。
だけどこうして時を経た今、それはその時にしか存在しない
貴重な時間であったことに気づく。
毎日のように通っていた神社の森は2018年の台風で今も一部が閉鎖されたままだ。ものの感じ方、考え方も、あの時と随分変わってしまった。
自分はこの十年、自分は何も変わっていない、同じところをずっとうろうろしている。そんな風にもどかしく感じる一方で、随分遠くまで来てしまったのだ、とも思える。
変わっていないのは、水のせせらぎと、
その音に心を静かにさせられる自分自身で、
変わっていくものと、変わらないものとの間で
しばし立ちつくしている。
鴨川〜下鴨神社に住んでいたころの散歩を題材にしたエッセイをこちらにアップしました。
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