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この本の、この一節 (1)

「私はあの白いウエハースの、きちんとした形が気に入っていた。

もろいくせにみごとにスクエアな、きちんとした、ほそながい。

私はそれで椅子をつくった。

小さな、きれいな、そして、誰も座れない ー。」

(『ウエハースの椅子』江國 香織)


なぜか、心にシンとした痛みがひろがり、いいようのない寂しさと、どこまでも沈み込んでいく感覚に囚われた一節。





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