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マルクス「資本論」の解説本を読んでアラサー経営者が感じたことの備忘録

カール・マルクス(哲学者・経済学者)の資本論。
難しい、読みにくい、で有名な本。
そんな資本論を「マンガでわかりやすく」読める本があったので、読んでみた。

ちなみにマンガの部分は極めて少なく、ほとんど文章だった。つらい。

そもそも資本論は、今から150年以上前に資本主義の本質を批判して、影響を与えた本である。あらゆる社会問題に対して資本主義の矛盾という観点から論じたそのマルクスの思想について、引用しながら感じたことをまとめる。

あまりこの記事は人に読んでもらうことを意識していません。
自分の読み返し用なのでご容赦ください。


第1章 資本主義の本質は「商品化」にあった

社会の「富」を資本主義社会では「商品」と化している。
例えばペットボトルの水150円。本来であればだれでもアクセスができる無料の資源(社会の冨)であったのに、資本が必要な「商品」となっている。
このように社会の富が徐々に商品に姿を変えているのが資本主義の特徴。
森や水などの社会のコモンをなんでもかんでも商品化し、商品化したものが資本を獲得する、略奪されたものは労働をする、そうして資本主義ができあがっていった。

そもそも資本主義ってなんだ?ってとこの学習から。
水を買うのにお金がかかって。
作物だってお金にする仕組みになってしまって。
資本家が儲かる仕組みができた。
そういう仕組みが資本主義ということ。

生産は「生きるため」から「資本を作るため」へ。
「生活に必要なもの」から「売れそうなもの」へ。

結果として、使用価値(人間にとっての有用性)ではなく交換価値(いわゆる価格)を重要視するようになり、ダイヤモンドのような使用価値がなくとも価値があるものを生産で追い求めるようになった。でも価値は変動する。だから、売れそうな物を作り続けなければいけないという、物に支配された資本主義から抜け出すことができない。
この「物に支配される現象」を物象化と呼ぶ。

資本主義によって「生産」の意味合いが変わった。
うちの会社はマーケティングの会社なので「世の中で必要とされるものを作り出していこう!」とドヤ顔で語っているわけだが、資本主義にめちゃくちゃ踊らされているんだなと、しゅんとした。
だからダメって話ではないんだけど、なんかマーケティングはこの世界において絶対的に正しい考え方!って固定観念は消したほうがいいね。
だって、必死にマーケティングして結果売れそうな物が
「激安で最低限の機能があるApple Watchみたいなスマートウォッチ!」
とかになることもあるけでしょ。
要らないじゃん。
時計なんてそもそもなくてもいいじゃん。
マーケティング?きっしょ!ってなるわけ。

早速、資本論の洗礼を受けた気がする。

第2章 効率化しても労働時間が減らないのはなぜか

資本とは価値増殖の運動である
資本家は、お金を基に商品を生産し、利益を得る。
その利益で更に売れそうな商品を生産し、更に利益を増やす。
この価値増殖の運動を資本とマルクスは呼んだ。
資産が30兆円のジェフ・ベゾスだろうが、イーロン・マスクだろうが、同業他社と張り合い市場での競争に負けないように金儲けの運動=資本に囚われている。終わりがないのである。
資本をより多く得るために、労働によって剰余価値を限りなく発生させる。1万円の日給で1万6千円を発生させ、6千円を資本家の懐へ入れる。
資本主義的生産における内在的衝動=理想は、1万円の日給でいくらでも多くの生産を行わせ、できる限りの剰余価値を発生させることである。
したがって、労働者の酷使は当然の行いであり、なくならない。
24時間働かせられるのであればそのほうがいいのである。

理屈的にはそうだよね。
資本家(現代では株主や経営者と言い換えてもいいと思うけど)は、とにかく従業員をがむしゃらに働かせ、利益を可能な限り生む。
そしてその利益でまた利益を発生させることを目指す。

でもそれは最近変わりつつある気がする。
昭和や平成初期ほど、労働が絶対って風潮がなくなってきている。
ただ、資本主義からするとブラック労働はなくなるはずがないんだということをマルクスは言っているわけだ。
それは正しいよね。

自分の労働力や時間という「富」を守り抜こう
労働時間を短縮することが、人生や心に豊かさをもたらしてくれる。
そのための労働組合だったけど、賃上げの要求ばかり。週休3日、1日6時間など、大幅な労働時間の短縮が、人生を豊かにする。

これなかなか鋭いことが書いてあってびっくり。
「労働時間を短縮せよ」
ここまでハッキリと書いているのかと驚いた。
資本家として頂点に君臨するイーロン・マスクが見たら激怒するだろう。

労働を減らすと本当に幸せになれるのか、というところまでは深くこの本では議論されていない。実際、まだ大手の会社でも週5日勤務がほとんどだし、有益なデータはまだ得られていないだろう。
勤務時間と幸福度に関して、もし面白い論文や著書があれば教えてほしい。

第3章 以降

マルクスは「アソシエーション(自発的な結社)」が重要だと説いた。
労働組合やNPOなどがアソシエーションには当てはまり、自発的な相互扶助や連帯を基礎とした社会を目指すべきだといった。
しかしその未来社会の答えは資本論には書かれていない。
マルクスは資本論を完成させることなく亡くなってしまったからだ。
助け合いによって豊かな社会は訪れる。社会にとって大事なものを皆で共有し、各人が全面的に発達した個人である社会を目指したい。
友人の引っ越しをタダで手伝おう。友達だから、子供相手だから、以外にも色んな人に実践してみる。みんなそうなっていったらコミュニズムの成功だ。

これまた結構派手なことが書いてある。
コミュニズム。
いわゆる共産主義だ。
これもスーッと腑に落ちる人はいないだろう。

だって日本の共産党はめちゃくちゃだし。
というかもはや共産主義を実践しようとしているのかすらよくわからん。

ほんでもって、日本だけでも1億数千万人いる人々の「思考を変える」のは無理な話だ。
少なくとも数十年~数百年単位の話だろう。
自分も世の中を良くしたいと思って起業して経営者の道を歩んでいるけれど、日本人の思考を変えられる力はない。
怖いしめんどくさいしそんなことするなら資本主義にのっかるほうが楽だ。と思ってしまうよね。

そんなことを感じる第3章だった。

私が感じたこと

論ずるってすごいよね

話は逸れるけど、論ずるってすごいね。
資本主義という切り口からあらゆる事象について関係性を持たせて論じている。そしてそれはきっと正しいのだろう。
理学部で昆虫を研究していた私からすると、経済学って新鮮で面白いなと純粋に感じた。

田舎社会っていいよね。

私の祖母は三重の伊勢志摩で大正時代くらいから変わってないんじゃないかって模様の生活を送っている。
海で貝や蟹を獲って、魚を釣って、炭火で焼いて食べて。
それと交換で野菜をご近所さんからもらって。
あんまお金要らないんだよね。

まぁそれでも当然資本主義に生きる以上は、お金を稼がなければいけないんだけれども。

一方で都会に生きる人間は窮屈そうな人間が多い。
金金金。
承認欲求のためにブランド物を買って。
東京で生きるために東京でお金を稼いでいるって感じ。
自分の周りにはあんまりそういう人はいないけど。
なんとなく窮屈に生きる人は多い気がする。

資本家として生きることはこれからも変わらない

自分は、資本家として資本主義の中で上位を目指すことはしばらく変わらないと思う。そして多くの資本家を生み出していきたいとも思っている。

おいおい資本論読んだのかよお前ってマルクスから怒られそうだ。

でも、自分も、これから生み出していく資本家が、これまでとは違う資本家であることを祈っている。
できる限り資本主義への抵抗を示せる資本家であり、関わる人間が豊かな生活を送ることのできる会社を作って広げていきたい。と純粋に思った。

どうすればいいんだろうね、やっぱり労働時間の減少かな?
週1回勤務25万円田舎暮らしとか?笑

資本主義からの脱却が是だと言える自信はまだない

このツイートを見てみよう。

レバレジーズという会社の固定残業代が80時間もあるという内容だ。
これは賛否両論、というか否定派の意見が多数だった。

・労働できることがありがたいと思えという意見
・ありえない、イマドキじゃない、ブラックだという意見

資本家を目指す人間は是とするだろうが、多くの人は資本家ではないので、非とするだろう。
これが資本主義に対する違和感だ。

ちなみに私も、資本家の立場からしてみれば「人の2倍働いて学べて最高じゃん!血を吐くほど働いて最高のビジネスパーソン目指そうぜ!」と思うし、いち現代人の立場からしてみれば「頭おかしいんじゃないの?ワークライフバランス大丈夫そ?絶対就職しないわ」とも思う。

マルクスの資本論からしてみれば、くだらない、ありえないと一蹴される不毛な議論かもしれない。
でも私には資本主義を真っ向から否定できるほどの勇気や経験、そして資本がまだない。

ずっと資本主義に踊らされているのだ。

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