見出し画像

ロゴとブランドと儲け

先日書いたロゴメイク記事の中で、下記の様な文章を載せました。

・ロゴを変えたから利益がすぐ生まれるかと言えばそうとは言えません。

このワード自体は間違いでは無いと思っていますが、ロゴの制作がビジネスと無関係だったり、利益に関係ないと思われてしまうと私の意図と違うと思ったので、ロゴと関係深い「ブランド」と「儲け」のお話をしていきます。

ロゴづくりの流れだったり考え方については上記の記事をご参照下さい。

今回の記事の内容はある意味「ロゴ作ったりするのにお金かけていい事あるの?」という問いかけ対しての1つの回答みたいなものになっています。


デザインを使ったマーケティング施策速度のちがい

デザインを使ったマーケティングの施策には速度の違いが存在しています。

・ブランディング:遅い
・セールスプロモーション:速い

非常に簡単な分類ですが、デザインの関わりやすい2つの部分です。

例えば、めちゃくちゃ雑なロゴを使っている企業のロゴをめちゃくちゃ適切なロゴに刷新したからといって、そのロゴを替えた日から売り上げが10万円上がるかと言われたら、そんな事は現実では起こらない可能性が高いです。

これはロゴを使ったブランディングが効果を表すのが比較的遅いからです。

逆に、WEBバナーを作った販促用の広告を出したり、商品を試すことができる様なプロモーションをしたりという施策をすると、ロゴを切り替えるという施策よりも素早く10万円分の売り上げを伸ばすことが可能だと思います。

ここでセールス施策の方が優れていると思うのは早急です。

どちらがいい施策というワケではなく、企業やサービスがマーケティングの中でどの段階にいるのかによって取り組むべき施策が異なるという事です。

明日にでも売り上げが欲しい段階の場合にはセールスプロモーションの方にお金をかけた方がその企業・サービスにとって「いい選択」だと言えます。

準備段階でこれから商品やサービスを提供していく状況だったり、充分に利益が出ていて企業・サービスとしての価値を高めたいという場合にはブランディングにお金をかける事で、最終的な利益を高める施策が合っています。

ただ、一体「ブランド」って何でしょうか?

ブランドの象徴とも言える「ロゴ」の理解を深めつつ話を進めていきます。


ロゴはカスタム可能な人間の「顔」

画像1

簡単に言えばロゴは「顔」です。

身体とか内蔵とか全て「会社」であって、ロゴはその会社の「顔」にあたります。ロゴが無い会社って何となくサイトの雰囲気とか商品とかは、ぼーっと頭の中に浮かぶけど、輪郭というか顔が鮮明に思い浮かばない感じです。

その人(会社)が色々なモノを生み出しますが、顔が無いと、近くに行って身振り手振り・行動・声の調子・渡してくれるモノを見ないとその会社かどうか分かりません。それを遠くからでも分かりやすくするのがロゴです。

しかも「顔」は自由にカスタム可能です。

・扱っている商品が高級だから、品のよさそうなキリっとした顔がいいな
・ご近所の人に好かれたいから、優しくて笑顔が映える顔がいいかな

大丈夫です。できます。

現実世界ではやたら顔を変えたりできませんから、メイク・髪型・服装などで補って相手に与える印象を操作しますが、ロゴは直接顔を変えられます。

そう思うと「3,000円でお作りします!」というロゴ制作の声がちょっと怖く聞こえてきませんか?安いのは正義なので否定しませんが、3,000円の顔をつけてお客様の居そうな場所をうろつくのを個人的にはおすすめしません。


人においても態度とか性格とかとても重要だと思います。それは強く思いますが、長く時間を過ごしたり、その人に興味が無いと内面を知る所まで進んでくれない人も多いです。パッと見の印象を与えたり、感情の機微を読み取るのは機能としての「顔」の役割なので、そこを合わせるのは大切です。

ロゴはブランドの中でも最も目立つポジションにあって「顔」であってシンボルです。ただ、顔が合っていても、服装も言動も不適切だと生きません

その、顔や服装や言動などのまとまりを「ブランド」と私は言っています。

恐らく現実の世界でも、顔も服装も言動も含めて見て、その人"らしい"と感じますよね?その「らしさ」みたいな部分が「ブランド」という事ですね。

デザイン業界で言う「CI・VI」的なモノはこのブランドをプロデュースする様な形の提案方法の1つですね。商品やサービスは変えられませんが、見せ方だったり、全体イメージを合わせて「ブランド」にするのがお仕事です。

ただし、お客様に合うブランドを揃えてもその人が売っている商品や提供しているサービスをすぐに買ってくれるかと言えばそうじゃないですよね?先ほども言った様に「ブランディング」は速効性のある施策ではありません。

ですが、いざ商品やサービスを選ぶ段階に差し掛かった時にブランドは効いてきます。「この企業は信頼できるのか?同業他社と比べて印象はどうか?見覚えのあるロゴか?」その企業が"正しく"認知されているかという部分に大きく関わってきて、最終的に「利益」を生み出す部分に影響を与えます。

前回の記事でも触れていますが、この利益を生む前のステップとして、必ず解決課題というものがあって、それをデザインの力で解決していくのがデザイナーの役割であって、少なくともその部分の力にはなれているはずです。


儲けとブランドの価値

今まで、ロゴを中心としたブランドのお話をしてきましたが場合によっては「儲け」と「ブランドの価値」は被っていない場合も存在しています。

例えばあまり知られていない屋号のWEB系の会社がアフィリエイトで莫大な儲けを出していたとしても、特にその会社にブランド価値はないですよね。

でも、儲けてはいます。

特に顔を用意しているわけでも無いし、身なりも特に整ってないけど、商品を知ってもらうノウハウを持っていて、実際に商品だったりサービスも売れるという会社は山ほどあります。セールス部分が非常に上手い会社ですね。

ここで、やはり、ブランドは必要ないのでは?と思うのも早急な考えです。

ブランドの無い企業は「変化」に弱いです。

先ほどの例だとノウハウが知られてしまったら、別の会社に真似されて一気にシェアを奪われてしまうかもしれません。それは何故かというと、お客さんにとって、同じ商品であれば別に誰から買おうが特に関係ないからです。

欲しいのは純粋な商品であって、誰から買っても全く一緒です。

他にも、売れていた商品カテゴリー自体のシェアが縮小していった場合、そのまま企業ごと先細りしてしまいます。ブランドが無いとこういった「変化」が起こった場合に、急激に状況が変わってしまいやすいのが弱点です。

しっかりとしたブランディングをしていれば、こういった状況でもその会社だから買う人・選ぶ人がいて、その会社である事自体に価値が出てきます

そのブランド基盤を作る段階にデザインが有効な場合が多いという事です。


具体的なお金の話

先ほど3,000円の顔は怖くない?って言ったんですが、最後に具体的なお金の話をします。ロゴデザインとかブランディングにかけるお金のお話です。

▸ロゴ:10万円

これって高いですか?

自分の生活基準とかお給料を基準にして換算してみたら結構高いですよね。

色んな基準がありますし、色んな角度から相場を考える事も重々承知していますが、デザイン業界の相場的に言えば価格はわりと安い方だと思います。

コレを説明しだすと「労働時間云々・技術による時間短縮云々・使用媒体による影響力云々」というデザイナーでも意見が分かれるお話で2~3倍の分量になって趣旨と外れるので、今回は会社にとってロゴが具体的にどう使われて、その費用はどうなのかという視点で軽くお話して締めようと思います。


例えば、新規に事業を立ち上げた企業があるとします。

ロゴ・ブランディングを適応したとして、対象範囲は名刺・封筒・WEBサイト・広告・社内装飾・看板など見渡す限り多くの場所に影響する要素になってきます。社外・社内問わずに触れる「人」にも非常に影響力があります。

当然それらの物品や媒体を用意するのにもかなり大きな費用がかかってくるので、変更するとなると大きな損失になります。会社規模にもよりますが、全てを刷新するとなると、少なくとも7桁以上の費用はかかると思います。

その物品や媒体に使うメインとなってくる「ロゴ」を例えば安く購入して使うとすると、質自体の問題と、そもそもロゴ・ブランドに思いがこもっていない場合が多いので、必然的にロゴとしての耐久年数は短くなりがちです。

何回も言いますが、別に安くていいロゴがあればそれがイチバンいい選択だと思います。ただ、通常の場合、デザイナーは商売としてその単価(格安)では時間や技術を売れない場合が多いので特殊な例だよ、というお話です。

つまり、ロゴだったりブランディングにある程度お金をかけないと、長く使えない場合が多いし、変更するにあたってかかる費用も結構高いですよ、という事を知ってもらうといいかなと思います。いいロゴは長い間使えます。


ということで、ロゴ・ブランド・儲けというテーマでお話してきましたが、いいロゴ・いいブランドを作った方が偉いという事では全くありません。


ロゴもブランディングもそうですが、その人の持っている魅力を引き出すのが役割です。「こんな風に思っています・実はこんな事ができます・こんな一面もあるんです」そういう情報を正しく伝える事をお手伝いしています。

もちろん社内でそれが出来ていれば、それで全く問題ないです。

それが苦手な企業さん、フリーランスの方のために、時間をかけて向き合うお仕事なので、その部分で重宝される存在であればいいなと思っています。

もし気に入っていただけたらサポートいただけると嬉しいです!