萌芽|鹿児島県・種子島

星、星、星。
僕は圧倒されていた。
空を埋め尽くす星。
今にもこぼれ落ちそうで、僕は思わず両手を広げた。

小学4年生の冬休み。
父さんが、どうしても種子島宇宙センターを見学したい、と言い出して、種子島に行くことになった。

天に向かって伸びる巨大な発射場には圧倒されたし、展示も面白かったのだけれど、何より僕の心を捉えたのは、夜の星だった。

宿の人に教えてもらって、〈星空日本一〉になった場所にやってきた。
周りにはなーんにもない、サトウキビ畑。
父さんが車のライトを消した途端に、真っ暗な闇が押し寄せた。
見上げると、満天の星空があったのだ。

昨日、野口聡一さんが3度目の宇宙の旅に出た。
野口さんは僕の憧れの人だ。
宇宙飛行士になるという夢を叶えるため、僕は、今、猛烈に勉強している。
全ては、あの星空から始まったのだ。

「萌芽」(ほうが)・・・物事がはじまること。


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