マガジンのカバー画像

はたらく現場

24
喪に関わるひとたち編(霊柩車の工場の職人さん、墓じまいを任される石屋さん、ホテルマンのように自宅のお葬式を取り仕切るひと、若い女性納棺師さん、きびきび祭壇の花を飾るひと、、、)
運営しているクリエイター

#ICU

ICUのひとびと

(前回からのつづき) 入院の際にはスマホの充電器は忘れずに ICU滞在は5泊6日だった(急性心筋梗塞で治療を受けました)。3日目くらいに副師長のウチダさんから「そろそろ出来ることは自分でやってもらいますから」と言われる。看護師さんからも「一般病棟に移られた患者さんから、なんか放っておかれたような気持ちになるという話は聞きますね」とも。 いくつか闘病記を読んだりもしてきたから想像はできるんだけど、実際ICUから一般病棟に移った二日間ほどは、ああ、とタメ息。ICUに戻りたい

ICUの長い一日

晩年の父は、入院中だったか施設に入居していた頃だったかに、懇意にしていたヘルパーさんに、「戦時中に世話になった看護婦さんに会いにいきたい」と言っていたという。当時88歳になろうというのにしっかりフルネームを記憶していて、何かの拍子に同じ県内に居られるというのを知ったらしい。 これは推測だが、出征するはずの若き陸軍二等兵が病気療養で外地に行くのを逃れ、一命をとりとめた。敗戦間際のことだから劇的に感じとるものがあったのだろうか。神戸の震災後、父は家族内のゴタゴタもあり「もう財産を