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丸鶏をさばいてみて思う

クリスマス前にクリスマスディナー用じゃない丸鶏を買った。


罹患歴50年。鳥恐怖症患者が衝動買いしてしまった。ちょっとした好奇心と、できるだけ節約したいという気持ちを併せ持った主婦が
「捌いてみようか?」
と思わせるほど、その丸鶏は超お買い得だった。勢いで買ってしまった。
けれど、恐怖心が戻ってきてすぐに冷蔵庫に入れた。さもありなん。

翌日。
まずYouTubeで予習。画面に出てくる鶏を観て怯みそうになりながらも、
「買っちゃったんだからやるしかないよ」と自分に言いきかせる。


まず、包丁でパッケージの金具を切り取る。思わず袋の中の臭いを嗅ぐ。嫌な匂いはない。少しドキドキしながら表面をさっと洗い流す。グレイビーソースに使う心臓は入っていなかった。キッチンペーパーで水気をふき取る。
そっとまな板の上に乗せると、思っていたよりも小さい。若鶏?思わず手を合わせて黙祷した。ど素人が作業することに罪悪感を感じてしまった。

背中側を十文字に切る。

背中はこっちで、胸肉がこっちか。
よし!できた。

と思ったら、胸肉側を大きくカットしていた。
どうしてそうしてしまったのか?未だに謎。

気を取り直して、身体からモモを切り離す。

あれ?関節ってどれ?
切れない。どうしよう。

手でポキっと関節を折ってから包丁を入れた。
意外なほど綺麗に切り離せた。

背骨を手で剥がし、切りきれてないところに包丁を入れる。
難しいのは手羽付き胸肉。V字型の鎖骨やら、肩関節やらでなかなかはずれない。


えーっと、筋にそって胸肉の間に包丁を入れる。
で、奥にささみがみえる!?

だんだんと包丁が切れなくなっていく。つるっと手が滑って怪我しそうだ。
ささみが小さかったので、胸肉と一緒に切り離した。

あら、手羽元ってこんなところにあったんだ。


と初めて知る。手羽先とに切り分ける。


プロであれば5分もかからない作業を、小1時間かかって終了した。
目の前には素人ながらもいろんな部位に分けた鶏肉があった。これらを
どう料理するか?実はまったく考えていなかった。


鳥恐怖症歴50年が、生まれて初めて丸鶏をさばく。
その作業をしながら、鶏を育てる人、鶏の命、解体のプロ、配送ドライバー、販売店員の人達のことを考えていた。ひとつの命が口に入るまで、多くの人達が携わっている。
『人が関わる毎に値段が上がっていくのは当たり前』だという当たり前の
ことを思い出した。

丸鶏を素人が捌けば時間がかかる。だけど、肉、皮、骨の全てを無駄にしたくない気持ちも沸き起こる。他のものの命で自分の生命を維持していることを痛感した。

で、鳥恐怖症は克服できたのか?と聞かれても、一度捌いたくらいでは
胸をはって「完全克服しました!」と言えない。けれど、お買い得セール毎に小さい丸鶏を買ってみようという気にはなったので一歩前進だ。
次回は、キッチンばさみを使って背開き&平らにする方法スパッチコックに挑戦したい。

背開き&平らにする「スパッチコック」
焼き時間が短縮できて、切り分けやすいはずだ。



鳥恐怖症 < 好奇心と節約術

インフレ率4%強。実感としてはそれ以上。「鳥恐怖症だから…」なんて
もう言ってられない。恐怖心は、全く違う角度からのアプローチで克服できる可能性がある。人間の三大欲求のひとつ食欲お得感で恐怖心を乗り越えられる。きっと。


私はその道の専門家ではないので証明できない。
ただの『締まり屋』というのが本当のところだろう。


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