見出し画像

プリンスエドワード島で起こった出来事~赤毛のアンの悲劇~

カナダ東部にあるプリンスエドワード島を舞台にした赤毛のアンを初めて読んだのは20歳を過ぎてから。村岡花子さんの翻訳で10冊全部読破した。
その頃、私がカナダに住むことになろうとは全く予想だにしていなかったけれど。

アンの世界にどっぷり浸ってから約10年の月日が経った。結婚願望が全くなく独身生活を謳歌していた三十路の女が、ひとりのカナダ人男性と出会った。まさかその人と私が結婚することになろうとは、知り合ってすぐの頃は考えもしなかったけれど。

人生何が起こるか誰にもわからないのである。

彼は赤毛のアンを読んだことがないといっていた。アンは全カナダ人の国民的アイドルだと思っていたが違っていた。乙女のような世界観は万人受けしないのだろう。冒険ものじゃないし、魔法も使わないし。

以前、私達は毎年夏に自転車旅行をしていた。
ある年、赤毛のアンの舞台となったプリンスエドワード島に行くことに。
ファンの私のために旅行先を選んだとパートナーは言った。
おぉ~♪ 私のギルバート♪ とっても優しいのね~♪
(ギルバートはアンのお相手)

旅の前に図書館から本を借りて読み直した。英語で書かれたもの(Anne of Green Gables)ではどう書いてあるのかチェックしながら読んでもみた。
準備は万端だ!

モントリオールからプリンスエドワード島のシャーロットタウンまでは飛行機で1時間30分という距離。なのに、私達は毎年自転車&ほぼキャンプという体力勝負の夏休み。スタートはモントリオール中央駅発。ニューブランズウィック州のモンクトン駅まで約16時間の夜行列車の旅だった。

モンクトンから自転車で数日かけて移動し、物語の舞台となったアヴォンリー村(キャベンディッシュ)に到着した。翌日のアンの家訪問、物語の中に出てくるお化けの森、恋人の小径散策を本当に楽しみにしていた。

当日、天候にも恵まれた。アンの部屋やキッチンを見てワクワクドキドキ!アンになった気分で妄想しながらお化けの森を歩いていると、

「トイレ行きたい」

えっ?

空耳よね?

「ここでしてもいいかな~ 誰も見てないし」

えっ?うそでしょ?

突然、思いっきり現実に引き戻された。
この隣にいる人は誰?
私のギルバートは...優しくてハンサムな私のギルバートはどこ?
目の前にいたのは、アンの世界に全く興味がないただのカナダ人だった。

「いやぁ~!!!!!!」


現実は厳しい。でも幸せにはなれる。 by アルバート・エリス



この記事は下記 #第二回ほっこり大賞 に参加しています。

どこがほっこり?と思われる方もいらっしゃるとは思いますが、誰が何で
ほっこりするかはわからないと言うことでしたので参加してみました。
この話でほっこりできたという方はコメント欄で是非ご一報くださいませ。
ほっこりできなかった方のコメントも併せてお待ちしております。



サポートしていただきありがとうございます。そのお気持ちが投稿を続けるモチベーションになります。大事に使わせていただきます。 コメントはいつでもお気軽にどうぞ!