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「全国最中図鑑」72 二十二代 庄之助最中(東京都)

香川県出身の泉林八りんぱちが二十二代 立行司「木村庄之助」を襲名したのは、昭和26年夏場所のことである。時はまさに大相撲黄金時代、栃錦と若乃花の両横綱が人気を二分し、毎日土俵は大盛り上がりだった。その人気絶頂の栃若戦を裁いた庄之助は、34年九州場所の千秋楽で引退。結びの一番も栃若戦だった。満69歳、21年間の立行司生活だった。
引退に際し庄之助は、記念に何か後世に残したいと考え、長男がやっていた須田町の菓子店で、行司の軍配団扇を形どった最中を「庄之助最中」という名で売り出すことを思いついた。これは庄之助家に代々伝わる「ゆずりうちわ」というもので、毎年本場所の15日間に限って使用していた思い出深い団扇だった。
極上の大納言小豆を使った「庄之助最中」は美味しいと評判になり、祭りや節句の時などは客が行列を成すほどになった。今も店を代表する人気商品で、両国国技館でも販売されている。

二十二代立行司木村庄之助最中

和菓子司 庄之助
東京都千代田区須田町1-8-5

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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途中で出会った最中のなかで、ユニークで忘れることのできないご当地最中を紹介していきます。

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