旅ブックスMAGAZINE

旅ブックスMAGAZINEは、“旅と暮らしの出版社“産業編集センターが運営する、「読む…

旅ブックスMAGAZINE

旅ブックスMAGAZINEは、“旅と暮らしの出版社“産業編集センターが運営する、「読む旅」を愉しむためのウェブマガジンです。 旅エッセイや紀行文の連載、旅の新刊の紹介と試し読みなどを発信していきます。

マガジン

  • インド食器屋のインド料理旅

    食器買い付けの旅や国内の専門店巡りで出会った美味しいインド料理やインドの食文化を、「アジアハンター」の店主・小林真樹さんがエッセイふうにご紹介します。

  • 橋に恋して♡ニッポンめぐり旅

    「橋」を渡れば世界が変わる。 渡った先にどんな風景が待っているのか、なぜここに橋があるのか。 「橋」ほど想像力をかきたてるものはない。 ——世界90か国以上を旅した旅行作家・吉田友和氏による「橋」をめぐる旅エッセイ。渡りたくてウズウズするお気に入りの橋をめざせ!!

  • 日本全国写真紀行

    取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。

  • 全国最中図鑑

    日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途中で出会った最中のなかで、ユニークで忘れることのできないご当地最中を紹介していきます。

  • わたしの旅ブックスシリーズ紹介

    各分野で活躍する著者が「旅」をテーマに綴る読み物シリーズ『わたしの旅ブックス』は、人生を豊かに彩る旅の魅力と醍醐味を一人でも多くの人に伝えることを目指し、紀行、エッセイ、ノンフィクションなどのジャンルで刊行しています。 https://www.shc.co.jp/book/category/travel/travelbooks

最近の記事

モモ【3】 日本化したモモ

『料理と帝国』(レイチェル・ローダン著/みすず書房)によると、小麦粉の皮で詰め物を包んで蒸す/茹でる「ダンプリング=饅頭(マントウ)」は中国内陸部で誕生し、その一部はチンギス・ハン率いるモンゴル軍の西征によって西アジアやヨーロッパに伝わったという。一方、古くから仏教の聖地だったチベットのラサなどには多くのモンゴル人巡礼者が訪れていた。チンギス・ハンのイメージから(モンゴル人=イスラム教徒)のイメージがあるかもしれないが、実は現在でも最も多くのモンゴル人に信仰されているのは仏教

    • 第22橋 蓬莱橋(静岡県) |吉田友和「橋に恋して♡ニッポンめぐり旅」

      大井川の急流をのんびり渡る 世界一長い木造橋 橋の上から富士山が見えそうだなぁと期待しながら訪れたら、本当に見えた。それも、期待以上にくっきりと。富士山が見える橋——さすがは静岡とでもいうべきか。  「蓬莱橋」と書いて「ほうらいばし」と読む。大井川に架けられた木造の橋で、明治12年に建造されたというから、この連載で紹介してきた橋の中でも比較的歴史がある橋といえるだろう。  静岡には車で行くことも多いが、今回は新幹線で向かった。のぞみ号だと通り過ぎてしまうので、ひかり号の新

      • 【日本全国写真紀行】 57 愛媛県今治市小島

        愛媛県今治市小島 日露戦争に備えた「芸予要塞」が当時のままに残る島小島は、今治市の来島海峡に浮かぶ、周囲4キロほどの文字通り小さな島である。今治の波止浜港から船で10分、船旅を楽しむほどの時間はなく、あっという間に到着する。1日10便運行しているそうだが、この日の乗客は我々4人と郵便局の職員2人のみ。帰りも同じ人数だった。  ここ小島には、日本が日露戦争に備えて、ロシア海軍の進攻を防ぐために築いた要塞が当時のまま残っている。「芸予要塞」と呼ばれるこの施設は、明治22年から2

        • モモ【2】 インド化したモモ

          その日、私はデリー市内にある巨大ショッピングモールのフードコートにいた。好調なインド経済を象徴するように、大勢の買い物客たちがさまざまな店でショッピングを楽しんでいる。もちろん、広大な席数を誇るフードコートも、昼時ともなれば大勢の食事客が集まり、下手をすると席の確保すら難しい。何とか確保した一席に座り、さて何を食べようかと居並ぶテナントの看板をぐるり見回した。すると黄色地に黒と赤で店名が書かれた、よく目立つテナントが目に入った。Wow!Momoである。 Wow!Momoはコ

        モモ【3】 日本化したモモ

        マガジン

        • インド食器屋のインド料理旅
          36本
        • 橋に恋して♡ニッポンめぐり旅
          34本
        • 日本全国写真紀行
          57本
        • 全国最中図鑑
          74本
        • わたしの旅ブックスシリーズ紹介
          8本
        • 旅ブックスMAGAZINE 月間記事まとめ
          35本

        記事

          「全国最中図鑑」74 狸最中(東京都北区)

          東京の王子といえば、江戸時代から狐の町として知られている。東国三十三カ国稲荷総社の格式を持つ王子稲荷神社には、毎年大晦日になると、稲荷のお使いの狐が、近くの榎の木の下で装束を整えてから初詣をしたという言い伝えが残っている。人間国宝になった五代目柳家小さん師匠が十八番にしていた落語「王子の狐」も有名だ。 そんな狐の町・王子で、なぜか狸の最中を売り出したのが、創業100年以上の老舗和菓子店「狸家」。なんでも先々代の当主が最中を考案するにあたって「王子は狐で有名だが、狐はズルがしこ

          「全国最中図鑑」74 狸最中(東京都北区)

          【新刊試し読み】 『にっぽんダークサイド見聞録』|村田らむ

          ホームレス、サブカルチャー、アンダーグラウンドなどをテーマに取材を行っているルポライター村田らむさんの著書『にっぽんダークサイド見聞録』が2024年4月15日(月)に発売されたことを記念して本文の一部を公開します。 本書について誰も知らない、誰も行かないヘンな場所をイラストレーター・ルポライターの村田らむが軽やかに訪れその理由と魅力を解き明かした見聞録。登場するのは富士の樹海やドヤ街、廃墟に珍スポット(韓国、北朝鮮、台湾も少しだけ登場!)。潜入取材、危険地帯取材を得意とする

          【新刊試し読み】 『にっぽんダークサイド見聞録』|村田らむ

          【新刊試し読み】『ふるさと再発見の旅 四国』|撮影 清永安雄

          本書について〈ふるさと再発見の旅〉第9弾は四国地方! 日本の原風景に出逢う旅へ もういちどニッポンをひもといてみませんか― 日本全国津々浦々、歴史ある門前町や港町から、知られざる漁村や在郷町まで。残しておきたい風景や語り継ぐべき物語を丹念に取材してオールカラーでお届けする写真紀行のシリーズ。 第9弾「四国」は香川、愛媛、高知、徳島を収録。 コラムでは地域に伝わる祭りやノスタルジックな商店街をピックアップ。各県の重要伝統的建造物群保存地区も全て掲載。 ――掘り起こせば私たちの国

          【新刊試し読み】『ふるさと再発見の旅 四国』|撮影 清永安雄

          モモ【1】 ネパール化したモモ

          日本全国津々浦々。今やどこに行ってもインド料理店がある。そしてその多くがインド人ではなく、ネパール人による経営であるという事実もまた、多くの日本人が知るところとなって久しい。遠くからでもよく目立つ外観と、そこにはためくネパール国旗。特徴的な形状と鮮やかな赤色が、何よりもそこがネパール人の経営であることを雄弁に物語る。今や「インネパ店」などと略称され、チーズナンやバターチキンといった老若男女問わず好まれるメニュー構成で、すっかり全国の地元社会に溶け込んだ感がある。 そのきわめ

          モモ【1】 ネパール化したモモ

          『わたしの旅ブックス』シリーズ紹介 8

          8回目は、森まゆみさん『アジア多情食堂』から、鈴木 裕子さん『まんぷくモンゴル! 公邸料理人、大草原で肉を食う』/北澤 豊雄さん『花嫁とゲバラを探して 〜南米婚活紀行』/下川 裕治さん『旅する桃源郷』/後藤 隆一郎さん『花嫁を探しに、世界一周の旅に出た』/小林 みちたかさん『やがてすべては旅になる 壊れた自転車で行く四国一周』までの6冊を紹介します。 『アジア多情食堂』著/森まゆみ50代から60代にかけて、アジアの国々を訪ね歩いた著者の旅紀行。中国、韓国、台湾といった隣国か

          『わたしの旅ブックス』シリーズ紹介 8

          ドーサ【3】 ドーサを求めてドサ回り

          ドーサという言葉自体は古代タミルで書かれたサンガム文献にも登場した古いものであり、南インドを広く象徴する食べものであるが、より近視眼的に見ていくと、地域によって実にさまざまなドーサが存在することがわかる。今回は南インド各地の飲食店で食べられる、地域性豊かなドーサを紹介していきたい。 地域別のざっくりとした特徴としては、分厚い鉄板で大きく焼くのがタミル式。中にジャガイモのマサーラーが入ったマサーラー・ドーサが有名だが、具のないドーサに豆汁のサンバルをかけたり、内臓煮込みとドー

          ドーサ【3】 ドーサを求めてドサ回り

          旅ブックスMAGAZINE|2024年3月記事まとめ

          2024年3月に公開した記事を紹介します。 2024年3月4日 「橋に恋して♡ニッポンめぐり旅」吉田友和 第20橋 四万十川の沈下橋めぐり(高知県) パタゴニア地方でトレッキングをしたときのことだ。泊りがけだったのでリュックにテントなどのキャンプ道具一式を詰め込んで出発したのだが、水は買っていかなかった。道中で川の水を汲めばいいからだ。南米の大自然に圧倒されると同時に、そのまま飲めるぐらいに澄んだ美しい水に魅了されたのだった。 2024年3月4日(月) 「全国最中図鑑」71

          旅ブックスMAGAZINE|2024年3月記事まとめ

          「全国最中図鑑」73 関あじ・関さば最中(大分県大分市)

          瀬戸内海と太平洋の水塊がぶつかりあう豊後水道の佐賀関で、一本釣りにより獲れるマアジ、マサバのことを「関あじ」「関さば」と呼ぶ。よく肥えているがきゅっとした身で、ぷりぷりとした食感ととろけるような味わいが身上。味も姿も別格で、高級魚として重宝されている。関あじは7月〜8月、関さばは12月〜3月が旬だ。 その、大分県が全国に誇る関あじ関さばを最中に仕立てたのが、佐賀関で明治39年に創業した老舗「高橋水月堂」。「佐賀関ブランドとして、関あじ関さばの名を広めたい」という地域を挙げての

          「全国最中図鑑」73 関あじ・関さば最中(大分県大分市)

          ドーサ【2】 崩壊するヘルシー概念と重い軽食

          前項のとおり、タミル人は米をパッチャ・アルシー(生米)とプルンガル・アルシー(パーボイルド米)とに区分けし、食べ方もそれぞれ変えている。それは単に好みというより、もっと深く宗教的な概念と結びついているように感じる。 大衆食堂のミールスとしてワシワシと食べられるのはプルンガル米の方である。一方、日本米と同様(パーボイルド加工しない)パッチャ米をワシワシ食べるのは「消化によくない」のだとタミル人はいう。確かにパーボイルド米はもみの中で米粒がぬかによってコーティングされるのでパッ

          ドーサ【2】 崩壊するヘルシー概念と重い軽食

          第21橋 ニライカナイ橋(沖縄県) |吉田友和「橋に恋して♡ニッポンめぐり旅」

          理想郷へと続く 愛おしき橋 この連載では数多くの橋を紹介してきたが、名前のユニークさでランキング付けするなら堂々1位に輝くのは「ニライカナイ橋」だろう。カタカナなのが沖縄らしい。にらいかない、という音の響きからして素敵だ。  ニライカナイとは、沖縄地方に古くから伝わる、海の彼方にあるとされる理想郷のことだ。神々が暮らす地であり、死者の魂が向かう先でもある。ちなみに奄美にも似たような伝承があって、こちらは「ネリヤカネヤ」と呼ばれる。  沖縄本島には絶景として名高い橋がいくつ

          第21橋 ニライカナイ橋(沖縄県) |吉田友和「橋に恋して♡ニッポンめぐり旅」

          ドーサ【1】 南インドの米事情

          「本格的な南インド料理とは?」と問われて、ミールスと共にドーサを挙げる人は多いだろう。例えばこれから日本のどこかで開業しようとする南インド料理店のうち、ドーサをメニューに置かない店はほとんどないはずだ。今やドーサは、南インドを象徴する料理として日本でも広く認知されている存在となっている。 雑穀やラヴァ(セモリナ粉)といった例外はあるものの、南インドの軽食店で出されるドーサは基本的に米およびウラッド豆とで出来ている。今回はこのドーサの主原料たる南インドの「米」事情に着目したい

          ドーサ【1】 南インドの米事情

          「全国最中図鑑」72 二十二代 庄之助最中(東京都)

          香川県出身の泉林八が二十二代 立行司「木村庄之助」を襲名したのは、昭和26年夏場所のことである。時はまさに大相撲黄金時代、栃錦と若乃花の両横綱が人気を二分し、毎日土俵は大盛り上がりだった。その人気絶頂の栃若戦を裁いた庄之助は、34年九州場所の千秋楽で引退。結びの一番も栃若戦だった。満69歳、21年間の立行司生活だった。 引退に際し庄之助は、記念に何か後世に残したいと考え、長男がやっていた須田町の菓子店で、行司の軍配団扇を形どった最中を「庄之助最中」という名で売り出すことを思い

          「全国最中図鑑」72 二十二代 庄之助最中(東京都)