見出し画像

年の差婚 夫の老化と妊婦妻

 □妊婦妻の変化


ここ10ヵ月。私は目まぐるしい体の変化に戸惑いながらも、献身的な夫の協力もあってなんとかここまでやってきた。

妊娠初期には重い悪阻。中期、後期は、喘息、体の湿疹、息苦しさ、頭痛、眩暈、貧血、腰痛。

毎日が幸せと辛さとアンバランスな体と心を支えていたのはやはり夫だった。

私は体も心もどんどん変わるのに、この人はなにも変わらない、ズルい!とさえ思っていた。

  ■歳の差夫の老化

妊娠も後期に入りやっと体も心も落ち着いた頃、夫の白髪がものすごく増えていて驚いた。

以前から足の爪切りを夫に依頼していた。
私は巻き爪で上手にまっすぐ爪を切る必要があったため、爪切りが趣味という変わった趣味を持つ夫が毎回嬉々として切ってくれる。

その日も爪切りを依頼していた。
蛍光灯のライトに照らされた夫の黒々とした髪が時折キラキラとまばゆく光る。

光に当たるとパラパラと黒髪から白い糸がこぼれ落ちるのだ。

「白髪じゃっ!」

最初は見つけ次第、根本から切っていたが、それも追い付かないくらい。

それだけではなく、夫のおでこが広くなり前髪が薄くなっていたのも衝撃であった。

実は夫は遺伝的に頭が禿げやすい。
付き合ってる時もそれはうっすらと感じていた。

それでも、じきに35を迎える夫は20代半ば手前の私よりずっと健康体であったはずだ。

風邪もひかず、腰痛にも悩まされず。

適度な筋トレと細めな水分補給を冬でもかかさず。

健康体の代名詞であった夫も、妻の妊娠中にイロイロとあったのだ。

思えば悪阻中、夫に家事は丸投げだった。
仕事復帰しても朝早い私のために毎日早起きして送ってくれた。

相当な生活の変化である。そりゃあ、髪も抜けるし、白髪も増える。

6月に、出先の焼き鳥屋で食中毒に夫だけ当たり、数日吐き続けた。

7月に入り軽い風邪を引いていた。

怒涛の妊婦妻ケア疲れがどっと出たのかもしれない。

ただでさえ、薬剤師の彼は私より常に外界からのウィルスに晒されている。

今までもコロナにかからず風邪も引かずなんとかやってきたのだ。

私にできることといえば、せめて毎食栄養価たっぷりの献立を作り、ミネラル、鉄分、ビタミンでそのうちのどれが効くかはわからないけど、夫の老化に歯止めをかけることくらいか。

   □妊婦妻の憂鬱

私だって夫と出会った頃は、うら若き乙女だったのだ。

肌はつやつやに発光していたし、全体的にほっそり、色白だった。

妊婦になって、肌はみるみる乾燥して、私の念入りな保湿が追い付かないほど。

どこもかしこも、ドライ。

細かった体は徐々に肉付きがよろしくなり、腰も厚くなった。

10代の頃から遺伝的なソバカスに悩まされていて、日焼け対策は欠かさず。朝はビタミン系の化粧水を使い、夜は、薬用美白美容液を塗り込む。

おかげで肌は色白でシミに悩まされることはなく、ソバカスも増えてはいなかった。

が、妊娠中にドッと増えたのだ。

憎きソバカスが。

ホルモンバランスと色素の沈着がおもな原因だろうが、許せなかった。

私の数年がかりの努力があっけなかった。

当初は悲しくて辛かったが、今は受け入れつつある。新しいコスメを開拓するなど前向きである。

産後落ちついて、まだ気になるようなら身銭を切ってレーザーでも美容医療でもすればいいのだ。

最近は引き続きシミ、ソバカス対策を怠らずいるが、最低限に留めている。

若く美しくいることに執着してはいけないのだ。老いや体の変化を抗うだけではなく、時に受け入れることも必要なのかもしれないと思い始めている。

変化にそのつど対応しながら、受け入れるくらいの器の大きな母になりたいと思う今日この頃である。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?