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229【特別支援教育と普通教育の間】

 教育は何を目指すのか、考えることがあります。社会参加と就労、義務教育を受ける・受けさせること、身辺自立、そして愛されることでしょうか。これらは、ドイツのインクルーシブ教育の基本理論です。コミュニケーションを身に付けることは、社会参加と就労のためです。

 インクルーシブ教育は、怒りのコントロールが重要です。助けてもらうだけじゃなくて、子どもたちには、できることはしてほしいし、何か、誰かの役に立つことを願っています。誰かの笑顔になる、感謝されること、そういうことは、誰かの役に立っているということです。子どもに関わる人は、ユーモアをもつこと、できることをすること、何かの役に立つこと、怒らないことがベースになります。それは、子どもたちの願いでもあります。

 特別支援教育では、特別な教育と思われていますが、日常的に行っていることは、普通教育と大して変わりません。普通教科書を使いますし、内容の理解が十分に得られなければ、自作教材や附則9条図書といって、義務教育に準拠した教材を使います。ベースになるのは、健常者の社会への参加を目指していますから、大きく違うようでは困ります。教育の現場では、多様性が求められていますが、空間や時間的な制約がなければいいのですが、現実的に何でもありを認めていいのかという疑問もあります。全部一緒に出来るのかというと、不可能な場面もあるでしょう。重度の子は、医療や養護学校との連携が必要で、どこで、どこまでを線引きするのかが重要になります。

 こうしたことを考えていくと、特別支援教育と普通教育の間には垣根はほとんどないことがわかります。社会は相変わらず、子どもは厳しく育てなければならないという同調圧力があります。子どもにとっては、単なるお試し行動でも、また手こずっているとか、親の躾のせいだとか見られてしまいます。大人のくせに、子どもたちの考えが全くわかっていない、寛容さがないわけで、私たちには普通でも、子どもにしてみると、目に見えない意味や抽象概念があり、宿題や勉強への動機付けの維持が難しかったり、情報の整理が未発達だったり、注意・集中のコントロールが出来ないだけだったりということが多々あります。三間と言われる「時間・空間・仲間」を見直して、子どもたちとどういった関係を築いていくのか見直すことが大切だと思います。

 大まかに子どもたちには4つのソーシャルスタイルがあります。

・ 一人でじっくり考えたい子
・ なんでもいいから答えを知りたい子
・ みんなの考えを聞きたい子
・ とにかく話したい子

 感情反応や自己主張の強弱を見極めて、接していければ、イライラ、モヤモヤすることもなく、こどもたちの個性として受け入れて、将来の姿を思い描くことができると思うのです。教育は何を目指すのか。枠に嵌らない子どもの自由な姿と、愛のある社会、仲間に恵まれた姿でしょう。良い人間関係の構築のためにも、子どもたちの権利と、私たちの義務を、もう一度見直していきたいと思います。


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