身長
「ごめんなさい。
秀さんとはお付き合い出来ません。」
また振られた。
5人連続で振られた。
今回は自信が有ったのに…。
やっぱり身長が低いからかな。
162cmの俺に彼女なんて出来ないのかな。
「そっか。
じゃあ、友人として、これからもよろしくな!」
「…そうですね。
では、私はこれで…。」
「あのさ!」
「…はい。」
「この際、プライドを捨てて聞くけれど、俺が駄目な理由って身長が低いから?」
「…。」
「いやその、女の子はやっぱり背が高い男が好きなのかなって思ってさ!
俺、チビだから。」
「…。」
あ、何か変な空気。
どうしよう。
「ごめん、答えに困るよね!
それじゃ、また!」
「違いますよ。」
「え?」
「秀さんとお付き合い出来ない理由。
身長が低いからではありません。
秀さんが身長が低い事にコンプレックスを抱いていて、卑屈で、女々しくて、面倒臭いからでもありません。」
ひでーな、おい。
「じゃあ、何で?」
「秀さんは、秀さんよりも身長が低い女性の中から、無理矢理彼女を見つけようとしているからです。
私の事、本当は好きじゃないですよね?
私が秀さんよりも身長が低くて、OKしてくれそうなレベルだから、告白したんですよね?
秀さんは別に好きな女性がいるんじゃないですか?
その女性は秀さんよりも、身長が高い。
そうじゃないですか?」
こいつ、エスパーか〜(꒪꒳꒪)〜
何で分かるのだ。
「身長が高い男性が好きな女性はいるかもしれません。
でも、身長を気にしない女性もいます。
恋愛をするのに、身長制限を付けず、素直に相手にぶつかったら良いじゃないですか!
こうして好きでもない私に振られているんですから、怖い物なんて、もう無いはずです。
秀さんが本当に私を好きなのか、好きじゃないのかなんて、すぐに分かりましたよ。
女性を甘く見ないでください。
では、さようなら!」
*****
あー、俺は今まで告白した子達に、何て失礼な事をしていたんだろう。
申し訳無さ過ぎる。
実は、ずっと片思いしている子が、他にいる。
でも、その子の身長は172cmだ。
その子と並んだら、俺の方が10cmも低い。
恥ずかしいじゃないか!
いや、誰が恥ずかしいんだ?
恥ずかしいと思っているのは、【俺】じゃないか?
「モデル並みの美女とチビが一緒に歩いているー!」って笑われるのが嫌なんだ、俺は。
身長だけでなく、器も小さいんだな、俺は。
それでも、俺はその子が好きだ。
振られ続けている俺に怖い物なんか、何も無い!
明日、思いを伝えよう。
卑屈で、女々しくて、面倒臭い性格も直さないとな!
関連記事↓