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興行も口コミも放っておけ。私が「DUNE」にハマるまで。

「DUNE」は前作のpart1 の時から、周囲の反応が悪かった。
「何を言っているかわかんない」「ずっと同じ風景でつまらない」という感想こそ聞くものの、見た人があまり語りたがらない映画って、ちょっとこわいし。

そして何より、見たという人が私の周りには極端に少なかった。
だから私も当時は、まあ見なくていいかな、とスルーする映画としてカテゴライズしていた。

part1 が公開されたのは3年前の2021年。先週までpart1すら見ていなかった私が、part2を見て涙するとは微塵も想像していなかった。

だからこそ私がDUNEにはまった経緯を書くことで、砂ネズミ一匹が通れるくらいの広さくらいは間口が開がればいいなと思う。まだDUNEを知らないけれども、きっと楽しめるだろう多くのひとたちに向けて。


「THE SIGN PODCAST」DUNE回を聞く

part1 を見るきっかけになったのは、「THE SIGN PODCAST」。
私が本当に愛聴しているポッドキャストで、カルチャー全般についてざっくばらんに教えてくれる。

このポッドキャストを聞いても、「DUNE」のあらすじも何もわからないので、安心して聞いてみてほしい。
主演のティモシー・シャラメやゼンデイヤ、アニャ・テイラー・ジョイなどの俳優に対する視点から、原作との関係、IMAXという方法についてなどなど、色々な話が聞けた。

そしてそれらを聞けば聞くほど、どのような映画なのかわからなくなっていく不思議。DUNE回を聞いたのは4月二週目あたりで、part2 はすでに地元の映画館では、レイトショーで一日一回しか上映されない映画になっていた。
この時点で私の心は「見てみたい」側に傾いていたわけだけど、私にとっては映画館で3時間近く椅子に座っているのはなかなかハードルが高いことなので、まずは原作の新訳版上巻を読んでみたのだった。

原作小説を読む

原作も最後の数ページまでは、何かが起きようとする予感を感じつつも、自分知らない話が長々と展開して、どういう話なのかいまいち掴みきれない。ああ、自分がpart1 を見た人とほぼ同じ感想を抱いていることに絶句。
ただ最後の数ページで、鳥肌が立ってDUNEに「ハマった」のだった。

「運命の子」をめぐる血統の話でありながらも、民衆の力という不可解なものに飲み込まれて、さらにそれが抑圧されたネイティブの聖戦へと繋がっていく。それらがうっすらと、まるで砂漠の砂に埋もれているところから、かすかに何かを発見したようにわかっていく感じ。好き、と思った。

そして中巻へ突入。ここまでいくと原作小説の読み方がわかってきた。コツは、わからないことはそういう世界だと思って丸っと受け止める(流す)こと。わからない言葉、わからない人が出てきても、とにかく自分は地球人だからわからなくて当然。深く考えるのをやめよう。これは読解する小説ではない、体感する小説なんだ。

中巻の途中まで読むと、映画版part1が見たくて居ても立っても居られな区なった。アラキス、サンドワーム、フレメンってどんなだろう?見てみたい、と思いながらも、自分の脳内にあるイメージも楽しみたい気持ちもある。
映画の解釈と自分のイメージがかけ離れていても、がっかりしたり怒ったりしないこと、と自分に言い聞かせながら、ついにAmazon prime videoを開く…

映画 part1 を見る

「何も起こらない」「風景が変わらない」とばかり聞いていた映画を見た。たしかに、その通りなんである。間違いなく、特に何も起こらないまま、とても綺麗な風景を見続けている感覚はあった。

なぜならpart1 は壮大なイントロだから。何か起こりそうな気配をゆっくりと、とてもゆっくりとクレッシェンドさせていくのがpart1 だった。その先のことは原作を読んでいてもわかるようでわからない。部分的に端折られている部分もあれば、原作とは異なる設定もあって、やはり、何かが起こりそうで、何も起こらなくて、でも多分この先何かが起こるんだろう、という感じが率直な感想だ。

でも、これでいいし、これがいい。だいたいこれだけ壮大なイントロ、見たことがない。これは映画館で見たかったな、と思うと同時に、この最高潮の盛り上がりの中(私の気分、DUNE熱が)、間髪入れずにpart2 を見に行ける環境に拍手した。サブスクがある時代に生きていてよかった。

そしてついに映画館へ part2 を体験

前述した通り、私が気づいたときにはpart2はすでにレイトショーの1日一回の上映のみ、もちろんIMAX上映ではなかった。私の気分が最高潮に盛り上がっているのに対して、この上ない仕打ち。仕方ない、コナンは強かった。

そんなことで観客は私含めて10人いない程度で、必然的にベストポジションを確保。そして映画が始まる。

結論から言うと、part2は私的2024年のベスト映画に確実にランクインする。今月は「オッペンハイマー」も見ていたけれども、話題性という点で言ったら、どうして「オッペンハイマー」はあれほど話題になっていて、「DUNE」はしらけているんだ?と驚くほどに。

私は映画に特別詳しいわけでも、カルチャーの中で特に愛好しているわけでもないんだけれども、映画に何かを求めてはいる。

言い換えれば、面白い映画を見たいという欲望が定期的にやってくる。
じゃあ私にとって面白い映画って何?私はどういう映画を面白いと思うの?と自問自答する。それはまだまだ、わからない。

そしてDUNE part2 を見終わった後、こういう映画が見たかったんだな、と自然と思えた。自分にとっての映画の面白さ、面白い映画がどういうことかはまだ言語化できない。一方で、DUNEの中には確実に自分の面白いレーダーに触れる部分があって、そういう映画に出会えたことが本当に楽しいし、うれしかった。

私はまだDUNE熱の中にいる。しばらくはこうしてDUNEのことを喋りまくっていたい。もう続編が見たい。でも、この映画の面白さを説明するのはとても、とても難しいんである。映画というプラットフォームを言葉にするのは難しい。書いている都度、何かが違う、そういうことを言いたいんじゃないんだという葛藤がある。だからこそ、映画で見てほしい。だからこそ、DUNEが映画である意味があるし、映画を見るよさがあるし、そこに面白さがあるんだと思う。

これからDUNEデビューする方へ

何回も映画を見る機会があるのだとしたら、とりあえず見てみるのが初手として良いかもしれない。そして気になったら原作を読んでみる、他の人の感想やネタバレを読んでみるとか。

ただ、私のように上映終了が迫っていたり、今この時しか見れないんだという状況にある方は、ほんの少しでいいので原作小説を読んでみると良いと思う。

その時間も惜しまれる人は、ネットのネタバレを恐れずに読んでほしい。ネタバレを読んだくらいどうってことはない強度の映画だから大丈夫。

事前情報のインプットをおすすめするのは、日本語字幕でこの映画を初めて見るのはハードルが高いと思われるからだ。
映画が始まったら、映像と音楽に飲み込まれてもみくちゃにされるので、その上、作品中でバンバカ出てくる未知の固有名詞にいちいち戸惑ってしまうと大変だ。

上映終了が迫っているなどして、二度も三度も映画を見に行けない人こそ、ある程度の状況設定を把握した上で見るのがおすすめ。

さあ見てみようという気持ちになった方へ、映画DUNEに対する基本姿勢も、原作小説を読む時と同様だとよいと思います。

コツは、わからないことはそういう世界だと思って丸っと受け止める(流す)こと。わからない言葉、わからない人が出てきても、とにかく自分は地球人だからわからなくて当然だと思おう。深く考えるのをやめよう。これは読解する映画ではない、体感する映画なんだ。

そして映画館に行って、感想をシェアしましょう。もっとたくさんいろんな人の感想が聞きたいのです、DUNE熱に浮かされている私は。
ぜひ多くの人にDUNEデビューしてもらい、感想を聞かせてもらえればと思っています。
DUNEをよろしくお願いします!

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