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【IDと教員研修27】能動的なグループ学習 Team-based Learning

「試しにグループで」という違和感


「試しにグループで話し合ってみましょう」という指示を聞くと,少しだけ違和感を感じることが出てきました.

グループで何を試すんだろう
なぜグループで話し合うんだろう
話し合いましょうではなくて,「話し合ってみる」って,どのくらいの内容だろう
・・・といったことです.授業中こんなことを考えている人がいたら,嫌ですね苦笑

とはいえ,「グループで話し合うとなんだかうまくいく」というイメージは,授業でも研修でもよくあるようです.

沈黙が起こらないようにする
一人で考えるよりもいろいろアイデアが出そう
話してみるとアイデアが湧きそう
声を出すと安心する

といった意図があるかもしれません.
でも,多くの場合,表面的な会話に終始するか,学習者が空気を読んで会話を進めるか,そんなことになりそうです.
試すのではなく,意図的に.
やってみるのではなく,必然性をもってやる.
グループ学習に必要な,能動性について考えます.

自ら学びに参加する準備をする

TBL(Team-based Lesrning)は,ラリー・K・マイケルセンが提案した教育方法です.主に医療専門職の教育で活用が広まりました.

チームは,5〜7名で構成されます.PBLではチューターがグループに1名付いていたことに対し,TBLではチューターがいません.自分達で問題解決を目指します.

まず,グループでの学習の前に,各自が予習します.どんな課題であるのかを知り,自ら解決に必要となりそうな基礎的な知識を習得します.
予習の後には,個人テスト(IRAT:Individual Readiness Assurance Test)が課され,基礎的な内容への到達度を確認します.

次に,グループでのテスト(GRAT:Group Readiness Assurance Test)を実施します.このテストは,IRATと同内容の問題となっており,回答はメンバーの合意が得られるまで議論して考えます.

続いて,GRATの結果について,各グループで共有し,教員からフィードバックが行われます.

そして,応用問題を「チーム」として解決する,という流れです.
最後には,経験したことを振り返ります.

グループからチームにする仕掛け

最初は個人で考え,同じ問題をグループで考える.
ここにうまく仕掛けがあれば,グループはチームとして機能するようになります.
チームとは何か,と考えると様々な場合があるかもしれませんが,ここでは,同じ課題を共有し,協働して解決できる集団といった言い方ができるかもしれません.

言わずもがな,ここで重視する「仕掛け」になるのは,テストの問題です.
チームとして解決の必然性や手応えのある問題をつくることが個別や協働の学びを生みます.

学校においては,「学習課題」と言われる内容にあたるかもしれません.教員研修で考えていくのであれば,校内研修におけるTBLが考えられます.

質の高い学習課題の作り方自体を課題にすることも考えられます
知・徳・体に分かれて,学校課題を考えることもできるでしょう
地域課題と学校課題のミックスも考えられそうです

もしかすると,TBLで学ぶことは,学習内容のみならず,チームでの協働の仕方そのものかもしれないですね.

次回は,認知的従弟制について考えます.


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