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【動画で学ぶUX:vol.3】三木健さんのTED講演「デザインの学び方」をまとめてみる

どうも! MoQupの原田です。

動画で学ぶUXという事で、第3回の今回は日本のグラフィックデザイナーである三木健さんのスピーチ「デザインの学び方」からUXについて学んでいこうと思います。

本記事の目的は、

・TEDやYoutube、イベントでスピーチをされている方々の思考や経験から、「デザイナーとしての考え方」を学ぶ
・有名なデザイナーの講演を見て「今からのビジネスやデザインに活かせる事」を学ぶ
・海外の有名なスピーカーから「最新のデザイン動向」について学ぶ

と設定していますが、新しい観点を取り入れつつ、UXについての事柄を動画から学んでいく事です。

さっそく始めましょう!!


三木健さんの来歴はこちら…


ブランディングなんて言葉がない時代からデザインをやってこられて、クライアントの理念を可視化する事を常に念頭においてデザインをしてきた、日本のブランディングデザインの先駆者とでも呼ぶべきデザイナーです。


本日の動画はこちら



三木さんのデザイン理念について


まずはじめに、三木さんが語るデザインとは、

理解(ここが疎かなケースが多い)
観察(知ってるつもりが最も危険)
想像(仮説を立てる)
分解(仮説を検証して、材料を集めて再構築する)
編集(根拠が集まったらストーリー化していく)
可視化(理念が動き出す)

のプロセスを経て、

理念を可視化する事=デザイン

だと言っています。

その中でも、非常に多くの人が忘れがちで疎かにしている理解をすることが全てのデザインの始まりであると伝えています。

理解が疎かとはどういうことなんでしょう?

実際の講演内容を追ってみましょう。

デザインの学び方を知る:僕らは本当にリンゴの事を知っているのか?


リンゴを知っている方はいますか?手をあげてください。というとほとんどの人の手が上がるでしょう。
あなたもそのうちの一人でしょうが、本当にリンゴの事を知っていますか??

という投げかけから本公演は始まります。

三木さんが講師として在籍している大阪芸術大学で、初めてデザインを学ぶ1年生に何を教えるべきだろう?と考えた時、
「アダムとイブ」、「ニュートン」、「ビートルズの作ったアップルレコード」、「Appleのスティーブジョブス」など、偉大な発明家やストーリーにはリンゴが絡んでいる!リンゴの陰に発明や発見があるのではないか?と三木さんは閃きました。

そこでリンゴをつかって、学生たちに理解を深めるためのカリキュラム作りにチャレンジしました。

「気づき」に「気づく」プログラム


デザインを学ぶためのプログラムとして、

リンゴを使った15の教育プログラムの中から、4つを切りとって紹介されていました。

・リンゴの周辺(表面)の長さをはかろう!
・リンゴの表面積をはかろう!
・リンゴの色を観察しよう!
・リンゴの色見本帳を作ってみよう!

一つずつどんなものか見てみましょう。

1.リンゴの周辺(表面)の長さをはかろう!

リンゴの表面に両面テープをはりつけて、表面に2㎜の太さの紐を巻き付けていくと、リンゴの周辺をはかることができます。

しかし、本質的にやりたい事は長さをはかることではなく、紐を全体に巻き付けて、初めて気付けるリンゴの歪みを教える事でした。

そして、違う色のリンゴにも紐をまいていくと、品種の違いによって、ずいぶん形が違う事に気付くことができます。

単色の紐をまくことで実際のリンゴとリンゴの形をした紐を比較して、いかに本物のリンゴが複雑な色と模様で出来ているかという、多様さに気づくことができます。

2.リンゴの面積をはかろう!

表面積なので、皮をむいてその皮を四角形に並べれば簡単に表面積を計算することができます。

しかし、知りたい事は面積ではなくリンゴに実際に触れていく過程での「気づき」なのです。

ある学生が、リンゴの皮を並べていると、「リンゴの皮ってすごくきれい!まるでバラみたい!」と。
あとでその学生にリンゴの事を調べさせると、実はリンゴはバラ科だったのです。それも普段は気にもしない事で、このワークショップがなければ気づけない事でした。

バラ科の果物
桜ンボ、梅、桃、スモモ(プラム)、ネクタリン、アンズ、ビワ、イチゴ、キイチゴ、リンゴ、梨、洋梨、プルーンなどなど

3.リンゴの色を観察しよう!

リンゴの色は何色?と聞くと、「赤!」「緑!」と答えます。
実際に観察してみると、様々な色で出来ています。

デザイナーがよく使う、色見本帳では赤は10数種類ほどしか載っていませんが、この色数ではリンゴの「本当の色」を表現できないのです。

紙であれ、ペンであれ、ノートであれ、工業化されたものはだれかが要素を選んでデザインしているのです。そんな常識を疑う事にも気づくことができます。


4.リンゴ色見本帳を作ってみよう!

リンゴの色見本帳を作ってみよう!として学生がワークすると、実に2800色ほどの色が見つかりました。

これは、実際の色、感じた色、あなただけの色などその時の感じ方や見え方も含めて、リンゴの色に含まれているからです。

世界でこんな色が多い色見本帳があるのでしょうか?
リンゴを中心にした色見本帳が世界にあるのでしょうか?

観察して気づきを得る事でしかなし得ない、「自分だけの解釈」を得ることができます。

それが出てきたところで、自分だけの色見本帳を作ってみんなでシェアしようと。他の人たちの見本帳を一つにファイリングしていく。

そうすると…

多様な考え方や、作り方の差、技術の差に「気付く」事ができます。

自分の気づきがまとまったものこそが本当の教科書になる。

といかに自分の中に落としこんで理解して、アウトプットすることが重要かを本動画では教えてくれています。


まとめ


最初でもお伝えしましたが、

三木さんの考えるデザインは、

理解(ここが疎かなケースが多い)
観察(知ってるつもりが最も危険)
想像(仮説を立てる)
分解(仮説を検証して、材料を集めて再構築する)
編集(根拠が集まったらストーリー化していく)
可視化(理念が動き出す)

というプロセスの中でも最も不足しやすい理解(気づく事)に対して、動画の視聴者に「気づき」を与えてくれるものです。

そして、本公演の主題である「デザインの学び」をまとめると、

・上記のプロセスを振り返る
・遊びながら学ぶ
・多様な考え方に触れる
・概念が見つからないときは名前を付ける
この過程で自分の物差しを作ることで、理念を作りデザインをいかに、分かりやすく語るか(可視化するか)?がデザインを学ぶ上で非常に重要だと伝えてくれています。

この動画をみて、知ってるつもりになっていたことや分かっていると思っていた事に対して懐疑的に思うようになりました。

本当に理解していたら、分かりやすく自分の物差しで語れるはずだと。
そう考えたときに自分が本当に理解できている物は少ないなと。
自分がいかに無知かを知ることができ、日々精進しなくては!と気合いが入りましたね。(ソクラテスもこんな気持ちだったんですかねw)

今後も刺激を受けた動画を紹介していきますので、よろしくお願いします!

また次の記事でお会いしましょう!

皆様の良きデザインライフを!!







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