ホス狂い~歌舞伎町ネバーランドで女たちは今日も踊る(宇都宮直子)

最近、ホストクラブに依存するあまり、売掛金を払うために搾取される女性という問題が取り沙汰されるようになりました。

著者はホストクラブが多く経営する歌舞伎町に住み込み、密着取材をしたそう。

ホストクラブのエグい話と言えば「星屑の王子様」を読んだ事があるのですが、それとは少し印象が違って驚いたものの、「そりゃまあ、そうなるよな。人間だもの。」と妙に納得するところもありました。

「星屑の王子様」を読んでいて、ホストってこういう図太い、強かな人が多いんだなーと思ってたんですけど、実際はかなりウェットというか。

ホス狂いが病んでるのは知ってたんですが、ホストの方もかなり病んでて依存性が高い印象です。
最近、人間への依存というものは、片方だけが依存しているとの状態があり得ないのではと思うのですが、ホストと客も共依存状態になってる事が少なくないんじゃないか。

「あんなに尽くしてケアしてきたのに、他所の店に移った!酷い😭」
「刺されたけど、救急車呼んでくれた。本当は優しいんだ😌」

それ、DV被害者の思考回路では…

ホストというのはケア労働、介護をする事と引き換えに店に貢いでもらう事が仕事なんですが、彼らは客のケア労働をする事で自らの自尊心を救おうとしているんじゃないか、という気がしました。要はメサコンですね。

メサコンというのは、成果が得られなければ満足できません。
客が店に金を貢ぎ、それによってホストはナンバーを上げる事ができる。それが彼らにとって、ケア労働の成果として分かり易くて良いのだろうな、と。

タイトルにもあるように、歌舞伎町というのはネバーランド、大人になれなかった子供の国のようです。
ホス狂いが少女のまま大人になってしまった女性であるように、ホストの側もまた少年のまま大人になってしまい、歌舞伎町のホストクラブにしか居場所を見いだせなかった人々なのだな、と。

ホストクラブの売掛制度を無くす、というのは賛成ですが、それだけでは問題解決にならないように思いました。
暴力団対策と同じで、根本的な解決、即ち経済・福祉と同時並行でやるべきではないかと。

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