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もうひとつの編集後記_LR47

もちろん本誌の編集後記があって、さらに『おとといラジオ』(FM COCOLO)でさんざん喋って楽曲もかけて、それ以上に話すべきことがあるのかというと、読者の方々の大好きなアーティストについての裏話などは、すみません、ほとんどないかもしれません。

ただ、今回、アブラーズ(=元チェッカーズの武内享、大土井裕二、藤井尚之)の取材をしたことにより、むか〜しむかしにライター&編集として仕事をしていた『PATi▶︎PATi』という雑誌のことをあれこれ思い出していたら、それはもう、キリがないのでありました。

アブラーズのページがまずその形になりました。片ページにメンバーのソロショット、片ページにテキスト、というレイアウト。さらにアブラーズという語感に合わせて記事のタイトルは『applause』、すなわち、拍手、つまり、パチパチ、『PATi▶︎PATi』。そう、その雑誌は若いミュージシャンに拍手を送ろうというコンセプトで始まり、そう名付けられました。そのイズムが、あたかも洗脳のように私の中に今も刷り込まれていて、『PATi▶︎PATi』のあとの『BREaTH』も、そしてこの『LuckyRaccoon』も、姿勢は同じ。大人の『PATi▶︎PATi』を作りたいと思っています。

とは言え、むやみやたらに拍手を送るつもりはないのです(ココがワタシの面倒くさいとこ。わかってますとも、ええ)。

インタビューというのは、どうなんでしょう、プロの方々はその対象が誰であれどうであれ、きちんと質問を用意して、やがて書くべき記事に必要な情報を取得していくのでしょうね。

ちょっと話が飛びますが、昨年、私などがおこがましいのですが、インタビューを受ける機会が何回かありました。事前に「本当に私でいいんですか?」「そちらの意図に合うお話ができないかもしれませんよ?」と確認した上で、それでもぜひ、と言っていただき、取材に臨みました。

そしてその帰り道、なんとも言えない、怒りでも失望でも悲しみでもない、もちろん喜びや達成感とは無縁の、モヤッとした、胃もたれのような溜息のような視界が霞むような、やりきれない気持ちになっていました。

やはり、予測していたとおり、相手は私に興味などなく、ただあらかじめ用意された枠組みに私と私の話を当て嵌めたかっただけだったのだ、けれどうまく嵌めることができず、時に無理やり笑ったり、時に困った態度をあらわにしたりで、長い間が空いたり、「わかりました!」とカットアウトで話を終えたり。そのときの私はどんな顔をしていたんでしょうか。

何より、もしラッキーラクーンの取材のあと、相手の方がこんな気持ちになっていたらどうしよう、申し訳ないなとちょっと反省モードに入りつつ、そんな時期に作っていたのが『ラッキーラクーン47』だったのでした。

まぁ、インタビューに関してはいつもモヤモヤします。よっしゃあ〜! なんて思ったことはないものね。それでも、今回も表紙の裏の「ゆっくり好きな人に会おう」の言葉どおり、会いに行ってきました。話を聞くのはいつまで経っても難しいけど、まず「会う」ことが大事なのだと自分に言い聞かせながら。初対面の阿佐ヶ谷姉妹さんも、めちゃくちゃご無沙汰なアブラーズも日髙のり子ちゃんも、みんなやさしかった。ありがとうの気持ちを少しでも誌面に反映させることができていたら嬉しいけど。どうだったかな。

ともあれ、47号が完成しました。ここへ来て初の巻頭コラム。のっけから私の個人的な思い出話ですみませんでした。やっぱりモンキーズは大きかったな、と、あとから映像を見直してみたり。九ちゃんのイラスト描いたけど(小声→)なぜかデザイナーさんが作ったレイアウトからそっと外されてたな、とか。ま、しかたないか。フフ。

本誌を作るより先に決まっていた、菅原龍平くんのお誕生日ライブ<ラッキーラクーン×四十一汁 presents くればいいのに in 呉>も、ご本人によるレポートで、映画『この世界の片隅に』ロケ地巡りもできたし、充実した内容になったと思います。これも今まであったようななかったような? 私の中では新鮮なページでした。龍平くんはその後も多忙を極めていて原稿書きがとっても大変だったみたいだけど。いつもありがとう。呉の街で、ちょっとだけ迷子になったことも含め、楽しい思い出にもなりました。

KANくんも、<Concerto col Quartetto da Muroia 2018(コンチェルト・コル・クヮルテット・ダ・ムローヤ・ドゥエミラディチョット)>の準備などで忙しい中、あの素晴らしいエッセイを書いてくれました。これは『おとといラジオ』の大内ディレクターも、本誌の名付け親であり翻訳家の奥田氏も、わざわざメールで「感動しました」と伝えてくれたほど。私も、最初にメールで原稿が届いた段階でジワッと熱いものが胸に降りてきました。LR47をお持ちで、まだ読んでないという方はぜひ読んでください。これはもう、マストで。と言いたい気持ちでいっぱいです。

2018年後半に2冊続けて作ったので、今はヘトヘトです。もう当分、作る元気がありません。テレビばっかり見ちゃいます。ではまた来週!


追記:この「ではまた来週」は『BREaTH』を作っているときから書いている私の締めの言葉なのだけど(KANくんの「ほなサイババ」的な)、当時は校正さんに「月刊誌なのに“来週”はおかしい」と言われて直されたりしてたな。そういうことじゃないんだよな。と、これまたモヤッとしていたことを「また来週」と書くたびに思い出します。


(写真:菅原龍平)


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