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絵の迫力感ーー『私という猫 終の道』を読んで

 イシデ電著 幻冬舎コミックス 2019年出版

 職場の近くに猫に関する本を集めた本屋さんがあって、仕事帰りに寄って、購入したマンガ。ここの本屋さんは、猫にまつわる本があらゆるジャンルに分け隔てなく揃っている。例えば、こないだ私が読んだ坂口恭平の『土になる』という本も置いてあって、タイトルだけでは猫が出てくるって分からないような本でも、写真集から小説までいっぱい置いてあった。

 その中でも、この『私という猫』というコミックは表紙の猫の絵がひときわインパクトを放っており、すぐに購入することにした。

 このマンガはストーリーがどうのというよりも、絵がとても良い。マンガだけではもったいない。原画とかポストカードにしたらよいのにと思った。この表紙の黒い猫は一匹狼のやくざしてる猫だが、かわいいキャピキャピ系の猫も登場する。私の中では、猫といったら、デブ猫とか人なれしてる猫より、不良っぽいかわいくない猫の方が、好ましい。猫は私のことを好かないんだが、猫といったら、そういうツンデレの方がかわいいでしょ。

 『私という猫』というタイトルは、哲学的で、マンガの中にまさにこのセリフが出てくるんだが、なんか言葉だけが浮いちゃってて、消化できてない感じが残った。でも、絵の迫力があるので、それでよい。

 隻眼の猫とかも出てきて、いわゆる飼い猫じゃない野良猫の世界が描かれているんだが、野良猫に餌をあげてる老人なんかや、その老人が死んじゃって、家を亡くして野良猫になる猫なんかも出てきて、なかなかジーンとくるストーリー展開もある。

 このマンガは三巻目なんだが、一、二巻は絶版になっていて入手が困難。本当にとてもよい絵のマンガに出会った。


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