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【読書感想】現代社会におけるルッキズムーーパク・ミンギュ著『亡き王女のためのパヴァーヌ』を読んで

パク・ミンギュ著 中川美津帆ほか訳 クオン社 2015年出版

 パク・ミンギュという作家が書いた恋愛小説。クオン社が出版してる「新しい韓国の文学」というシリーズを踏破しようと思って読んだ。

 始めの雪が降るシーンからの男女の光景が、なんか、一昔前に流行った韓流ドラマっぽくて、いかにもヨン様がでてくるんじゃないの?みたいな甘い恋愛小説の始まりでちょっとうんざりした。そこそこ長い小説だったが、終始、その甘い男女のやりとりがなじめず、韓国現代小説っておもしろい、と最近思っていたが、それがくじかれる読書体験となった。

 甘いっていうか、女性が男性に敬語使って話すところとか、私、すごいブスじゃないですか、っていって泣き出しちゃうとことか。アメリカの現代小説じゃ、考えられないことだな、と思う。受験戦争、格差社会、資本主義など、日本の社会と共通するとこがあって、そういうのは西欧の文学にはない、共感を生むが、この小説の男女関係はほんとイライラするというか、もうやめてくれ、と思った。でも、日本の小説でも、辻仁成とかこういうの書きそうだな、とか思ったんだけど、どうなんだろうな。韓国の小説ほど、社会的なこと書かないと思うんだけど、男女関係のイライラさせるような描写がある本は、私が読まないだけで、日本の小説にもあるんだろうな、と思った。まあ、あまり好きじゃないな、こういう小説、と思った。

 女性がブスでというのは、あとがきに韓国社会に幅を利かせているルッキズム(ルックス至上主義)があるからではないか、そこに一石を投じる、と書かれていたが、そうなのか、と思った。日本の小説でここまでブスがどうのこうのっていう恋愛小説はないんじゃん。林真理子はエッセイだし。

 韓国って、整形するのは当たり前だっていうし、BTSもすごく端麗な顔立ちだし、現代の韓国ってルッキズムと切っても切り離せないことだから、社会問題になってるのかな、とちょっと思う。昔、アメリカとかでも美容整形手術なんかは、当たり前だと言われていたが、その続きで韓国も流行り出したんだろうか。

 こういうのは、日本の社会にとっては古いことなんだろうか。これからの日本に影響を与える社会現象なんだろうか。ちょっとおもしろいな、とは思う。


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