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化学兵器をまく話ーー『20世紀少年』を読んで

浦沢直樹著 ビッグコミックス
 
 兄の本棚に全巻あってずっと読みたいと思っていたが、読んでいなかった。コロナが流行って家にこもっていた時、一気に読もうと思って読んでみた。読み始めるとのめり込んで、一日で半分くらい読んだ。

 マンガを描く人って、描いてるうちにものすごく話に振り回されてしまうというかのってきて、すごくおもしろい展開を描くんだけど、雑誌連載の関係とかで、話が最後に行くにつれ、収集つかなくなっちゃってる感は、あった。すごくおもしろいんだけど、いろいろ出てきた良いキャラしてた登場人物が使いきれてなくて終わるとか。主人公はいるんだが、それぞれの登場人物にキャラ与えて、話を作っていく感じがこのマンガが売れた2006年では新しかったのかな、と思う。

 でもこの浦沢直樹は、話を最高潮まで描かないところが、みそだな、と思った。このままドカンと書いたら、もう3巻くらいで終わりそうな話なんだが、いろいろ伏線をくんでいて、ドキドキワクワクした。ちょうど、コロナの時期だったので、こういう化学兵器ウィルスをまく、という話は、より現実的に感じた。世界がコロナウィルスで騒いでるとき、カミュの『ペスト』じゃないけど、こういう感じの本ってけっこうあるんだな、と思った。

 昭和の子ども時代の話とか、ついていけるの、私たちの世代でおわりなんだろうな、とちょっと思う。ちょうどよい時期に出版されたんだな、と思った。今読んでおかなかったら、とても時代感じて古くなったのものだとみなしただろう。

 売れたのとてもよくわかるマンガだった。


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