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割とリアルなマンガーー『しあわせは食べて寝て待て 2-4』を読んで

 水凪トリ著 秋田書店 2023年出版

 最寄りの本屋さんで、一巻だけいろんなマンガを購入して、いろいろ試し読みしてるんだが、なかなか二巻目も続いて読んでみようと思えるマンガがない。でもこのマンガは全巻読んでみたいと思って、最後までまとめて購入した。マンガデビューしてから初めての経験。

 団地で一人暮らしをする30代の女性の話なんだが、一巻目は30代のあわい恋で話が進んでいくのかな、とちょっと思っていたが、そうでもなかった。隣に年をとった大家さんが住んでいて、そこに無職の年頃の男性が住んでいるんだが、結局、その若者の生い立ちの謎は明かされないまま、そのおばあちゃんとどういう関係なのかは明かされないまま、全巻完結した。それでいい。血筋がどうの、父親がどうの、という話になりかけた時は、うぜえな、とちょっと思ったが、そんな陳腐な話にはならなかった。そして、30代女性の恋も成就されたんだかされなかったんだか、分からないまま終わった。

 私も団地で住んでる独身女性だからか、このマンガは読んでいて心地よかった。特に、昔懐かしい近所の人との関係が描かれていたり、見知らぬ人たちと、つながっていくストーリーがよかった。今は亡き光景だが、若い女性が団地で一人暮らしするという光景は現代こそだろうとは思うが。そして、病気を抱えた女性が、職場でパートとして働いている様子も、よくありがちな会話がそのまま表現されてて、割とリアルだった。

 マンガを読みながら思ったのは、この主人公が働いているような職場は現実に存在しないと思うし、マンガだけの話と思うんだけど、団地の空き部屋を貸し出して、副業しようとする主人公は、現代社会を物語っていると思う。こんな現代なのに、家族四人暮らしで狭い団地借りてて、勉強するところがないと困る高校生が出て来たりするのも、いまだに存在する切実な問題だ。

 と、昭和にできた団地に住む私が率直に抱く感想でした。


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