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中国国内のネットサービス決済手数料に関する豆知識(スマホ決済とゲームプラットフォーム手数料)

TOPの写真は2015年に行った重慶動物園のパンダです。どこかのタイミングで中国動物園特集やりますw

前回取り上げた薇婭(viya)さんのニュースについて

前回記事の最後で触れました中国ライブコマースの女王「薇婭(viya)」さんと「強制執行」に関するニュースです。

これ、どんな話かというと訴えた方が女王「薇婭(viya)」さんと関連する「谦寻(杭州)文化媒有限公司」。訴えられたのが「娅严选(广州)供应链管理有限公司」。もう勘の良い方はわかりますよね?さんの名前を勝手に会社名にしてビジネスをやってたというわけで裁判の末、この会社はそれらの名称使用停止の強制執行を受けたということです。

弊社の中国スタッフの説明によると中国にも「商標」のような仕組みがあって、それを逸脱して相手に不利益な行為を行った場合、不正競争という法的な判断が下されるということ。悪いことはどの国でもできません。そして薇娅さんの望む判決結果になったかはわかりませんが、名前はもう使われずに済みそうですので結果としては良かったのではないでしょうか?

日本では中国のライブコマースのお話がニュースとしてもあまり流れてこないので今回のことは中華メディアの日本語版でさえ記事にしていないと思います。中国に住んでいなかったり、あるいは日々の情報に目を配ってないとなかなか現地の情報が仕入れられないので、弊社の中国スタッフには大変助かってます。

さて、現地に住んでないとなかなか知ることができないお話を今日はもう1つさせて頂こうと思います。(また脱線するかい!とお怒りになる方、申し訳ありません、でもこれを話しておくことで、より次回の腹落ち感が増すと思うのです)

中国のネットサービスが流行る理由は手数料の低さにあり

PayPayのお話です。僕は個人的にもPayPayはお買い物で多用してまして、普段財布には現金が一切入ってないし、カード払いはできないがPayPay決済はOKっていうお店も最近はあるので重宝してます。
ところがこの日経さんの記事のように、

Suicaなど交通系電子マネーは3.25%(米Squareの場合)、楽天ペイは3.24%。今年有料化を予定するLINE Payは10月から2.45%、メルペイは7月から2.6%となる。PayPayは10月に有料化を検討し、料率は未定としている。

とありまして、すみません、私はPayPayが今まで手数料無料なのは知りませんでした。すごい太っ腹!
有料になるならPayPayやめます、という小売業の方のお気持ちや論評もよくわかります。

でも、日本のあるいは世界の決済手数料は中国に比べるとやはり高いです。

新エネルギー・産業技術総合開発機構さんの調査された「中国のモバイルペイメントの状況と中小企業向け貸し出しなどへの応用」をご確認いただきたいのですが、中国国内のアリペイ(支付宝)、WeChatPayment(微信付宝)の手数料は1%未満なんです。
なぜそんな安い手数料が実現出来るのかは、中国独特の「第三者決済サービス」にあります。

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要はどういうことかと簡単にご説明すれば、送金元の銀行口座が異なっていても、第三者決済機関の中での取引は割安になる、ということで理屈はなんとなくわかるのですが、相手から支払われてアリペイにプールされた現金の引き出しの手数料は2万元まで無料、2万元超えるとユーザーは0.1%の手数料だけ取られるので、これならずっとプールしときたくなります。

では第三者決済機関と銀行の間は決済はどうなのか、というと「網聯(ワンリェン)」と呼ばれるシステムで銀行が流れを監視できる仕組みが2018年にできました。この間の手数料がユーザーに転嫁されることはありません。

このように生活に密着した多くのトランザクションが発生する取引において店舗側への手数料負担がとても少ない、ということが中国には言えます。そしてこれも中国でECを盛んにさせている一つの理由でもあります。

余談ですが、北京のカフェで人民元でお代を払おうとしたらすごく怒られました。相手もお釣りの現金を持っていないからです。

ゲームのプラットフォーム(Android)手数料は日本の2倍!

中国は手数料が全て安いわけではありません。ゲームプラットフォーム、とりわけAndroidのストアは手数料が50%~60%、PCゲームプラットフォームについては70%を徴収するところもあります。多分、世界一高い手数料です。
他方、Appleは中国国内も30%です。

これのカラクリはと申しますと、Tencent などのプラットフォームはゲームのストア内の宣伝もこの手数料の中でやってくれます。日本だとGoogle PlayやApple AppStoreでフィーチャーされるなどしてユーザー流入を得ますが、ストアはパブリッシャーのために広告は打ちません。
中国のAndroidプラットフォーマーは30%分の手数料がストア運営費用、残りの20~40%はパーセントは広告費用と考えていて、それに見合うストアからの流入が見込めます。

まあ、でも結局お金はプラットフォームに入るわけですからこの手数料は高いです。
余暇で生じたゲームなどのAppの売り上げからはガンガンお金を取る、これも中国。取れる所(ゲームなど)からは取る、取れない所(生活密着)からは取らない、そんな経済なんだと思います。

今回のまとめ

ECやライブコマースの利益にも直結する中国の決済手数料というものを、次回の「なぜ日本のライブコマースはイケてないのか!?」の投稿の前に説明しておきたかったのです。
中国:決済手数料安い → お店がスマホ決済を使いたがる → スマホ決済を使うユーザーが増える
日本:決済手数料高い → お店がスマホ決済を使いたがらない → スマホ決済を使うユーザーが増えない
いささか結論は乱暴に聞こえるかもしれませんが、決済手数料の高い安いでも、ネットサービスを使う人が増えるのか、増えないのかを分ける原因になり、ECやライブコマースの利用者数にも影響しているのだと思います。何故なら中国のスマホ決済はECでも使いますからね。
まだPayPayの手数料率は未定なのだそうですが、1%程度だと店舗さんもPayPayを使い続けるのではないでしょうか?

次回は今度こそ、日本のライブコマースがイケてない核心部分に触れたいです。(2回くらい投稿するかもしれません)
梅雨に入られた地域の方も、これから梅雨の方も、健康、体調管理にはご留意され、コロナなんかに負けず、頑張りましょう!僕も頑張ります。(なんて締め方だ ... )

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