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長男が双子になりました(後編)

2021年4月

ウチの長男が小学5年生になり、ともみんの長女が小学5年生になり、
らんちゃんの長男も小学5年生になった。
クラスの名簿にも載っている。
なのに、らんちゃんの長男だけ、身柄は香港に居る。

これ、どうなの、大丈夫なの?
日本の子供が行方不明の状態になってるんじゃないの?

国籍やら何やら、分からないことが多すぎて、とにかく子供本人と連絡がつかないことには、どうしようもないし、
そもそも本人と連絡がついたとしても、5年生って10歳じゃ、、うーん。。
という感じだった、私。

家で、ゲームをやっている長男に
「ねぇ、あっきーと連絡取れてる?」
と聞いたら、あっさりと、
「うん、今、一緒にやってるよー。」
って、オンラインで、フォートナイトをやっていた。。

私はとりあえず、
「誰か大人から、ママの名刺の宛先に連絡ください、って伝えてね」
と、長男のゲームのマイクに向かって話しかけ、その後の連絡を待っていた。

2021年5月

居候のコウジ(仮名)の彼女のユリちゃん(仮名)が妊娠したって聞いたのがこの頃。

そして、赤ちゃんが産まれたら、ウチに住むのは物理的に厳しいと話していたのもこの頃。だって中野区の狭小住宅、3階建てだし危ないし。そもそも赤ちゃん産んだばっかりのお母さんのお世話をする人がいない。
ウチが猫の手も借りたいほど、忙しいんだもの・・・。

そして待ちに待った連絡が香港からやっと来た。

2021年6月


らんちゃんの妹さんから連絡キタ!

やっ、退学できてないんだなー、これがー・・。
誰か別な友達が、色々とやってくれたのであろうとは思ったけど、子供の事まではさすがに面倒は見れないのが普通だろう。
私は、らんちゃんの妹さんと、facebookのMessengerでやり取りを重ね、状況を聞いた。

あっきーが香港で学校に通っていることや、妹さんであるケイちゃんがイギリスにあっきーを連れて帰れないこと。(イギリス政府がイギリスでの子供との同居を認めなかった)
香港のおじいちゃんとおばあちゃんに、あっきーを預けて大丈夫か。あっきーはそれでいいのか、日本に帰りたいんじゃないか、など。

私は、あっきーは何と言っているのか、ケイちゃんに尋ねた。
大人の事情ではなく、子供の心を尊重したかったんだ。
すると、ケイちゃんは送ってくれた。
「僕は日本人だ、と言っています。彼のアイデンティティは日本にあると思う。」

それなら、話は早い!日本に住んだら解決するじゃないの、と。
私は「ちょうど今、家に住んでいるカップルに赤ちゃんができたから家を出るところだよ、ウチに住めばいいよ。」と伝えた。
ケイちゃんは、泣き顔のスタンプを何度も送ってくれた。

そして、私は、コウジとユリちゃんに伝えた。
「えー、もっと困ってる人が現れたから、君たちやっぱそろそろ出てってくれる?」
あっきーの事情を話すと、コウジはさすがにお尻に火が付いた模様で、
「やべぇ!」と慌てて引っ越し先を確定するべく動き出した。
29歳のコウジは、大人だ。少なくとも10歳の子供よりは。

そして、私も大人だ。この時、ネタを探していた構成作家の方に、ウチが面白い状態になってると伝えておいた。ほどなくして、企画が通り、地上波TVの撮影がスタートした。20年ぶりだよ!密着取材!
カメラが回ってるほうが、面白いよ、私。

2021年8月

外務省、弁護士、区役所、児童相談所、に電話を散々かけまくって、パスポートの手配や、弁護士さんの手配、他人の子供を日本で育てることなど、色々調べて、あっきーとケイちゃんがやっと日本に来れたのが8月7日。
コロナ禍で、日本のパスポートで出国していたあっきーを、ケイちゃんと一緒に日本に入国させる手続きは、大変ではあったけど、とても迅速だった。
外務省って、日本人の子供に対してものすごく親切だね。夏休みの間に、なんとか手続きを終えて、2学期から小学校に復学できるように、ビザを発行してくれた。

小学校の先生は、らんちゃんが亡くなった後の手続きをしてくれていた友達の人と、連絡がつかなくなった事に困っていたので、私があとやりますよ、って事に安心してくれたようだった。

そして、この頃の話が、フジテレビの「ザ・ノンフィクション うちにおいでよ~居候たちの家~」で放送された内容。

2022年8月25日

あれから、一年たって、私と主人はやっと「里親認定」をもらえました。
未成年後見人は、私と弁護士の先生と二人体制。
里親は、私と主人の二人体制。
あっきーには、亡くなったママと、そばに居るママと、そばに居るパパと、遠くに居るパパと、たくさんの親ができた。
私には、イギリスに住む妹と、香港に住む両親ができた。
あと、独り立ちした、コウジとユリちゃんと赤ちゃんも含めると、大きな息子とお嫁さんと孫まで居る感じだね。

東京、中野の狭小住宅。
ここに、私の家族が住んでいて、ここから世界中に家族が存在している。

保育園の1歳児クラスで、同じクラスだった私の長男と、らんちゃんの息子のあっきーは、
こうやって、双子になりました。

明るい希望。明希が、私の家の子供になった話。

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