読書記録69 『万感のおもい』内なる勘違いを育てる

なぜか万城目氏のエッセイについて記事を書きたくなる。

敬愛なる森見登美彦氏の影がチラつくからか。

大体悩んでいるタイミングで手に取っている気がするし、そうやって読むと大体背中を押してくれる不思議な人物。

『万感のおもい』

この度読んだのは2022年に出た、『万感のおもい』。

横長で見たことない本の形だなと思ったら、夏葉社発行だった!やっぱり素敵な本作るなー。
(夏葉社は島田氏が手掛ける一人出版社。『電車のなかで本を読む』良いのでオススメです。)

万城目学のエッセイはサラサラ読めてクスッと笑えて好きだ。

一年毎月の色を決めて書くエッセイ「色へのおもい」はとても良い。

夏になると冬の空気を忘れ、冬になると夏の暑さを嘘のように感じるから、その時々で感じた空気感を色に込めて文章に残しておくのは素敵だと思った。

エッセイの中では万城目氏のお父さんが亡くなった話や、モリミーが出てくる話があって泣いたりニヤニヤしたりして楽しめた。


時折人生の教訓らしきものが書かれていてハッとさせられるのもエッセイを読む醍醐味。

「私は二十代の頃よりも賢くなった。勘違いもしなくなった。その代わり、「これ、自分でもできるかも」という無邪気な思いつきは消えた。自分の能力に対する客観性が備わり、勘違いのチャンス自体失ったのだ。もしも今、将来の進路に悩む人がいるのなら、その内なる「勘違い」を育ててみるのもよいのでは?なんて柄にもなく語りかけてみる。」

「無限の可能性」本書p.28

絶賛就活に悩んで、自己分析の沼にハマりかけていた。

ちょうどいいところでフリスビーのように言葉を差し込んでくれる万城目氏!ありがとう。

そして久々に読書記録を書かせてくれたことにも感謝。

かしこ

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