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『食べる女』性愛も空腹も満たしてくれる大人女子のための短編小説

筒井ともみさんの『食べる女 決定版』を読んでいます。

映画原作本ですが、こちらは短編小説となっているので、どこから読んでも。

キュンです!

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ヒリヒリするような女性の性愛。
それらに食べることが結びついて、思わず生唾ゴックンしちゃう。

もちろん色んな意味に於いて。

独身、非婚、既婚の女たち。
母という女、娘という女。
事情や情事。

泥臭い話もタブーなことも満載なんだけど。

恋のシチュエーションで食されるごはんの描写が、マジ絶妙だし、美味しそう。

愛して食べて、生きていく。
満たされる営みってまさにこういうこと。

サラリと書かれていて痛快。
本当にシンプル。

愛して食べることに意味を持たせようとするから価値観の相違ができて、こんがらがるんである。

人間ってつくづく面倒だけど、それもこの小説だと昇華されていく。

自由でいい。
やりたいことをやればいい。
恋すればいい。

躊躇うことなく、美味しく楽しく美しく、堪能しよう。

どの男の人たちも魅力的な個性を放ち、フニャと女心を溶かしてくれる。

良き小説。

コロナ禍って、ほんと、ふざけるなって感じだし。
人類から恋愛を奪う気かい?

恋と食べること、少し酔うことはワンセットなのにさ。

憂いても仕方ないから、まあ、『食べる女』読んで、呑んで、なんでもいいから、繋がって。

そうして空白の時を満たしていきましょう。

少し寂しくて満たされない大人たちのための一冊。
ハートもお腹もきっと満足させてくれるハズ。

飢餓感が逆に強くなっちゃったら、とりあえずこれを食べましょ。

日本人のソウルフード。

"玉子を割ってかき混ぜて、醤油を入れて、
あつあつのごはんの上にかけた。

箸を取ると待ちきれないように、流しのへりにもた
れたまま、生玉子かけごはんを食べはじめた。

シャバシャバシャバ。シンプルで混じりけのない味が口中にひろがって、喉をすべりおちていく。

すごく美味しい。シャバシャバシャバ。(p23)"

"多実子はクスクス笑いながら、台所の暗がりで生玉子かけごはんを食べつづける。

シャバシャバシャバ。

こんなときフェロモンは、女の体内で密やかに醸造されるのかもしれない。(p24)"

恋人にも寄りかからないと決めたような主人公の気持ちが、玉子かけごはんに表現されていて、なんか好きな場面です。




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