見出し画像

野花のベッドで眠りたい

北国にも、ようやく遅い春がやって来て、スプリング・エフェメラル(Spring Ephemeral)と呼ばれる、春の儚い花たちも咲き始めた。
これらの野花は、可憐でひっそりとした風情というよりも、蔓延はびこっていると言ったほうがいいくらい旺盛にびっしりと咲いていて、その様は、まるで花の絨毯というか寝床のようにも見え、思わずその上に寝そべってみたくなる。




たぶんこの国では、本当に寝そべっても誰にも何も言われないと思うけれど、一年のほとんどを地下で過ごすという、やっと地上に顔を出した花たちを押しつぶしてまで、それを実行するのは忍びないので我慢している。
でも花のベッドに横たわるなんて、幾つになっても乙女の夢だなぁ(笑)


和名:ミスミソウ(雪割草)

地面を這うようにびっしりと咲く
シラーシベリカの群れ
和名:チオノドクサ
こちらの国では "春の星" という
名がつけられている


この時期、散歩しならがら野花を少しだけ摘んで家に飾るのも、ささやかな楽しみ。





陶磁ヒヤシンスという名がつけられた花は
中東が原産だけれど
この国の南部では自生している
ロシア南西部、コーカサスなどに自生する
シラーシベリカはここでもよく咲いている



残念なことに、家から一番近い島にはなぜか春植物は全く咲いてなくて、この花たちが実を結び種をつけたら、島へ蒔きに行こうかと秘かに思っている。
もしかしたら数年後には、島中に花の絨毯が咲くかもしれない。


北の大地に桜が咲くのはもう少し先で、5月に入ってから。
この国の春はいつも駆け足で過ぎて、あっという間に夏になってしまうので、小さな変化も見逃さないように、晴れた日は毎朝、野原を歩くようにしている。



この記事が参加している募集

散歩日記

いただいたサポートは、日本のドラマや映画観賞のための費用に役立てさせていただきます。