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フリースタイルピアニストけいちゃん作詞作曲シンフォニア(映画「美男ペコパンと悪魔」主題歌)の世界を紐解く…かもしれない個人的考察と感想文Vol.9

【Vol.9 堕ちていく夢の中】


〈シンフォニアMVはコチラ↓〉


〈映画「美男ペコパンと悪魔」公式HPコチラ〉


〈はじめに〉

この文章は私が映画「美男ペコパンと悪魔」と主題歌シンフォニアのMVを見て感じた事と主観的なイマジネーションで自分の頭の中を整理する為にまとめた個人的な考察と感想文である。

〈3つの世界を描いた主題歌〉

けいちゃんご本人がインタビューで3つの世界を描いていると語っていたこの曲。考察をしていく上で大前提となるその3つの世界を記しておく。

【3つの世界とは】

1.映画の中 現代世界(隼人と亜美)

2.映画の中 さらに物語の中 中世世界(ペコパンとボールドゥール)

3.映画の外 MVに描かれている世界・私達の居る現実の世界(けいちゃん自身も含む)

概ねインタビューでけいちゃんが答えていた事だがそれに加えて私の主観を含み独自の解釈となっている。

〈前回のVol.8はコチラ〉


【サビ直後から】

前回のVol.8では「もう変えれないくらい」のサビを少し過ぎた「今夜未明 堕ちていく 夢の中」までを考察した。

「堕ちていく 夢の中」
は前回駆け足になってしまった感があるので今回改めてその部分から見ていきたい。

「堕ちていく」
前回書いた事に2〜3付け加えたい。

"堕ちる"には
・地獄に堕ちる
・罪に堕ちる
のように"罪や(悪い)誘惑に屈する"というような意味がある。

また"惰眠"などという言葉もある。
"惰眠をむさぼる"というのはするべき事をせずに怠けて眠ってばかりいる。という意味である。

総じて"堕"には品性がない、節操がない、だらしがない、悪い方向へ向かうなどのイメージがつきまとう。

「堕ちていく 夢の中」

その夢は決して楽しい夢では無さそうである…

【どんな夢の中?】


前回のVol.8の最後で
「夢の中」
は文字通り夢の中と書いた。
たしかにそうなのだが3つの世界別に少しずつ意味合いが違う気がするので詳しく見てみよう。

1.隼人と亜美の世界
隼人は病院で昏睡状態となったまま目覚めないがその枕元で亜美は"美男ペコパンと悪魔"の物語を読んでいる。映画を見ている観客はペコパンとボールドゥールの世界のストーリーを隼人が見ている「夢の中」の世界として受け取っている。

2.ペコパンとボールドゥールの世界
ペコパンは各地を放浪しながらも愛するボールドゥールの事を忘れてはいないし早く戻って結婚したいと夜毎願っていたはずだ。
眠りにおちていくペコパンが見る「夢の中」にはボールドゥールとの美しい思い出やこれからの幸せな未来が描かれていただろう。
それは待たされ続けるボールドゥール側でも同様ではなかったかと推測する。
しかし楽しくないのはその夢が一向に現実に近づかず放浪するペコパン、待たされるボールドゥールという構図が続く事である。

3.映画の観客の世界(私達のいる現実世界)
私達は昼間起きて活動している時が現実世界で夜眠っている間に夢を見ると思っている。

本当にそうだろうか?

この"現実"と思っている世界が実は超リアルに感じられる夢の中の世界という可能性はないだろうか?
ほとんど覚えていないし脈絡もないし繋がりがあるかないかも分からない"あちらの世界"が本当の世界だとしたら?
覚えていないのは"忘れさせられている"のではないのか?
あちらとこちら、あるいはもっといくつもの世界が多重に存在しているのだとしたら?
どれ一つとして確かなものなど無いのだとしたら?

3つの世界や「夢の中」という言葉を考えていたらそんな想像が膨らみ頭の中がカオスだ。
そもそも夢のメカニズム自体解明しきれていないし"夢のお告げ"とか正夢だとか夢には色々不思議な事柄が多い。

作詞者のけいちゃんが一体どこまでの広がりを意図して「夢の中」という歌詞をこの位置に置いたかは計り知れないがどこまででも掘り下げる事のできるような、しかしまるで実体があるかないか分からないフワフワとした雲を相手にしているような…それが「夢の中」という言葉の世界観ではないかと思う。

【結局そうなりますよね?】

結局「夢の中」と言われてもそもそも夢ってなんなんだ?と考え始めると何が何だか分からない。
だから続く歌詞はこうなのか?

「僕は知らない」

ええ、ええ、そうでしょうとも!
全くもって当然なご意見ですとも!!
知らんのよ!「僕は知らない」!!

…少し落ち着こうか。ふーっ。
全くこの後に及んで「僕は知らない」などとあまりにも堂々とおっしゃるではないか!
その後のくだりで何を知らないなのかを見てみよう。

「明日の僕がいる世界」

…ふむふむなるほど。
明日自分がどの世界にいてどうなっているかなんて知らないと。
たしかにそれは知らない。
僕どころか誰も知らない!
知る由もない!!

この曲が3つの世界を表している事から考えても「明日の僕がいる世界」が分からない、知らないと歌ももう終わりそうな終盤に言い出すというのはなかなかのトリックだ。
今まで言ってきた(歌ってきた)ことをここで思い起こさせるような、そしてぐるんとひっくり返して驚かせるようなそんな効果があると思う。

【誰が前に進めんだ?】

やっとこの歌詞に辿り着いた。
「恐れ知らずほど 恐れの大きさを知るから
前に進めんだ」

今まで言ってきたように歌詞の順番通りに日本語を捉えてしまうと「ん?」となる。
倒置法を思い出して欲しい。

(例えば色々な経験のある人間、年齢を重ねた人間は)「恐れの大きさを知るから」(恐怖を前にして進む事が出来ない)
→(だから)「恐れ知らずほど 前に進めんだ」

色々な含みを考える事も出来る。
しかしここは歌を締めくくる大事な歌詞。
なんといってもこれは映画の主題歌なのだ。
映画の主人公美男ペコパンが"恐れを知らない前途有望な若者"であるからこそ「前に進めんだ」とスッキリ考えたい。

【Vol.9おわり】


【Vol.9後記】


長かった…「愛してるの意味や」から始まって「前に進めんだ」までひたすら長かった(号泣)
自分なりの解釈ではあるけれどここまでまとめて来た事でシンフォニアの世界観が少しは理解できたのかなという気がしています。
この先の曲の一番最後の最後「前に進めんだ」まで考察しようと思っています。あともう少しお付き合い下さい。

【つづく】


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