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【ご報告】ノンフィクション作家・柳田邦男 特別講演会 「子どもが変わる、大人が変わる瞬間~絵本の力を見直そう」

2022年9月4日(日)、「いせひでこ絵本原画展~「生きる」をみつめる」(2022.7.8金~10.4火)の関連イベントとしてノンフィクション作家・柳田邦男 特別講演会 (森のおうち再生記念)
「子どもが変わる、大人が変わる瞬間~絵本の力を見直そう」を開催しました。
講演会様子をご報告します。

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柳田邦男さんは、まず、7月23日(土)と、8月27日(土)開催のいせひでこ講演会について「画家自身が一枚一枚どのように描いているか話しをしたことを聞いて、夫婦であってもアトリエを覗いているわけではないので、初めて知ることもあった」と感想を話しました。
そして、自身がご子息を亡くしてから50代の終わりで絵本を見直すようになったことや、「子どもの頃に何十回も読んでいたものが、人生後半になると子ども頃に気がつかなかった深い意味を味わうようになった」ことに気がつき、様々なところで「絵本は人生に3度楽しめる」と絵本を読むことをすすめる活動をしてきたと説明。
活動の核になったという15年前からスタートした、東京都荒川区の子どもたちに絵本を読んでもらい、感想の手紙をもらう取り組みでのエピソードを、大人の部、子どもの部に分けて数事例づつ紹介しました。

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『だいじょうぶだよ、ゾウさん』 (ローレンス・ブルギニョン/作、ヴァレリー・ダール/絵、柳田邦男/訳、文溪堂)に自分を重ねた、弟を亡くした少女の小学生~成人になった現在までのやりとり。

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『むっちゃんのしょうくどうしゃ』(国本りか/文・絵、芽ばえ社)を読んで、自分の劣等感を克服し、お母さんや給食の人に感謝して楽しく食事をするべきだと気がついた小学2年生の男の子。

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『みんな、絵本から』 (柳田邦男/作、石井麻木 /写真、講談社)で、家の中の環境の悪さに気がつき、改善した母親。

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『ちょっとだけ』(瀧村有子/作 、 鈴木永子/絵、福音館書店)で、大人の目線と子どもの目線の違いに気づかされた3歳児の子を持つ母親。

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『おじさんのかさ』 (佐野洋子/作・絵、講談社)を読んで、雨の月曜日に「傘を開いて、心を開いて行こうと思う」とFAXを送った高齢の男性。

詳細やすべての事例はご紹介できませんが、どれも興味深い内容でした。
柳田さんは、「いくつになっても、絵本には、気づきがあり、心の持ち方まで変えてくれる」と絵本のすばらしさをうったえました。

また、北海道士別市や当別町、佐賀県伊万里市、福島県矢祭町など各地の絵本普及活動を紹介しました。

柳田さんの「絵本は生きている上で、つらいこと、悲しいこと、大変なことがおこったとき、癒やしの力を持っている。気づかされることがいっぱいつまっている。」と話されました。

とても精力的に絵本の普及活動をされている柳田邦男さんの姿に、同じく多くの方に素敵な絵本を届けたいと開館してる当館も励まされ、心を引き締められる内容でした。

「いせひでこ絵本原画展~「生きる」をみつめる」は、10月4日(火)に終了となりますが、これからも、森のおうちは、様々なかたちで絵本の魅力をお伝えできるよう頑張って参りますので、これからも皆様のご来館を心よりお待ち申し上げております。

学芸員*米山裕美


2022いせひでこ絵本原画展A4表面

「いせひでこ絵本原画展~「生きる」をみつめる」
2022年7月8日(金)~2022年10月4日(火)
【展示作品】
『たぬき』 いせひでこ/作・絵 (平凡社)
『愛蔵版 グレイがまってるから』(平凡社) ※2022年6月刊行
『あの路』山本けんぞう/文 いせひでこ/絵 (平凡社)
以上、各全点
・タブロー「ポプラ、聞く樹よ」
・習作「もみの木」
・各作品スケッチ、エスキースなど

絵本美術館&コテージ 森のおうち
開館時間●9:30~17:00(最終入館は閉館30分前まで、最終日15:00閉館)
休館日●木曜(お盆の週は無休、祝日振り替え有り)
入館料●大人800円 小・中学生500円 3歳以上250円 3歳未満無料
〒399-8301 長野県安曇野市穂高有明2215-9
TEL 0263-83-5670 、 FAX0263-83-5885

最後までお読みいただきありがとうございます。 当館“絵本美術館 森のおうち”は、「児童文化の世界を通じて多くの人々と心豊かに集いあい、交流しあい、未来に私たちの夢をつないでゆきたい」という願いで開館をしております。 これからも、どうぞよろしくおねがいいたします。