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【画家・絵本作家の声】しおたにまみこさん『たまごのはなし』原画展に寄せて

こんにちは。昨日もご紹介したように、絵本美術館 森のおうちでは「たちどまって考えるお話 絵本原画展」を開催中です。
今回の展示では、昨年の第28回ブラチスラバ世界絵本原画展で金牌を受賞するなど、国内外で今、注目の『たまごのはなし』の原画全点を展示しています。

このタイミングで、全部の原画をお借りできたことはとても嬉しくぜひ多くの方に御覧頂きたいものになっています。
そこで、作者のしおたにまみこさんに、作品についてお話を伺ってみました。

原画展によせて~しおたにまみこ

たまごは目が覚めたばかりで、ほとんど何も知りません。
自分の思うままに動くので、周りに迷惑をかけたり失敗もします。
しかし、たまごは自らの失敗や間違いを受け入れることができます。
私はそんなたまごがとても羨ましいです。
原画のたまごは少しむかつく顔をしているかもしれません。
ですがもし、そんなたまごをみて何かを考える機会になれば嬉しいです。

「ちょっとたちどまって考える話 絵本原画展」
どうぞよろしくお願いいたします。

しおたにまみこ

『たまごのはなし』について【インタビュー】

「やあ、こんにちは。わたしはたまご。今から、わたしのはなしをするからね。」で始まるたまごの哲学のような話。自分が目を覚ました瞬間のことから、はじめて歩き、はじめて話をした時の事、マシュマロに出会い、巻き込みながら、一緒にキッチンの台を降り、リビングにまで足を運ぶ話へと続く3話の物語。
 動くこと、話すこと、伝えることなど、当たり前だと思っていたことに光を当てた、作者初の絵童話。読めばよむほどに引きこまれ、読み手の年齢や立場、環境などの違いで読み方が変わる話題作。第28回ブラチスラバ世界絵本原画展金牌など受賞多数。

『たまごのはなし』 しおたに まみこ/作 (ブロンズ新社)

●創作のきっかけ
編集者の沖本さんにインスタグラムに載せていたハンプティダンプティーの絵で絵本を作らないかとお声がけいただいたのがきっかけです。

●創作中のエピソード
書き始めの2〜3枚は、普通の4色カラー印刷のつもりだったので、色を付けて制作をしていましたが、途中で3色で印刷することになり、そのあとの絵はすべて鉛筆だけで描くことになりました。

●作品の特徴や技法について
技法はデッサン、ドローイングなどでしょうか(詳しくなくてすみません)。
受験で習うようなデッサンとは少し違うものにしたいので、なるべく滑らかにしようと思って描いています。
しかし、そのせいで快活さみたいなものが消えてしまうので、そこは今後の課題だと考えています。
制作時間は「たまごのはなし」ですと、白バックでたまごやマシュマロだけの場合は1〜2日ほどです、背景のある絵になると、5〜10日ほどかかります。(サイズによります)
「やねうらべやのおばけ」ですと、1枚に2〜3週間ほどかかったと思います。
「そらからきたこいし」は一枚で1ヶ月かかりました。

●作品鑑賞の時に注目の点
たまごの眉毛の位置にはこだわりがあるので、みてみてください。

「たちどまって考えるお話 絵本原画展」

この企画展では、今回、ご紹介したしおたにまみこさんの『たまごのはなし』(ブロンズ新社)と、庄野ナホコさんが描いた3作品、計4作品の全点の原画を展示しています。
しおたにまみこさんの原画でしか感じられない繊細な鉛筆画のタッチを、ぜひこの機会に御覧下さい。

2022年4月15日(金)~2022年7月5日(火)
【展示作品】
『二番目の悪者』 林 木林/作 庄野ナホコ/絵 (小さい書房)
『せかいいちのいちご』 林 木林/作 庄野ナホコ/絵 (小さい書房)
『北極サーカス』 庄野ナホコ/作 (講談社)
『たまごのはなし』 しおたに まみこ/作 (ブロンズ新社)

絵本美術館&コテージ 森のおうち
開館時間●9:30~17:00(最終入館は閉館30分前まで、最終日15:30閉館)
休館日●木曜(G.W.期間中は無休、祝日振り替え有り)
入館料●大人800円 小・中学生500円 3歳以上250円 3歳未満無料
〒399-8301 長野県安曇野市穂高有明2215-9
TEL 0263-83-5670 FAX0263-83-5885


学芸員 米山 裕美


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