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宇宙人が教えてくれる世界一やさしい宇宙論かもしれない

 何年も前の話ですが、愛媛大学宇宙進化研究センター長である谷口義明先生の本のお手伝いをさせていただいたことがあります。

 それは『宇宙のはじまりの星はどこにあるのか』(メディアファクトリー新書)という本なのですが、その際おもしろい話をたくさん聞かせてもらいました。

 たとえば、宇宙の未来はどうなるか、という話。現在、宇宙は加速度的に膨張しているわけですが、その膨張速度はいずれ光速を超えると言われています。にわかには信じられないかもしれませんが、なんと宇宙は光よりも速く広がっていくというのです。

 そうすると、どういったことが起こるでしょうか。

 夜空に輝く星で考えてみましょう。単純に1万光年離れた星であれば、1万年かけて地球に光を灯してくれています。ですから、僕たちが見ているのは、1万年前の星の姿ということになります。要するに、1万年前に星が出した光が、1万年かかって地球に届いたということです。

 でも、光よりも速く宇宙が広がっているとなると……。

 そうです。遠い星の光が届かなくなってしまうのです。

 谷口先生いわく、天の川銀河(僕たちが属している銀河)とお隣のアンドロメダ銀河の星しか見えなくなるそうです(実は、天の川銀河とアンドロメダ銀河は遠い将来には合体してひとつの銀河になるのですが、それはまた別の話ということで)。

 ここからが谷口先生のおもしろいところです。

 私たちは、宇宙が誕生したのは約138億年前だってことを知っています。宇宙がどのように誕生したのか、(その正解はわかりませんが)真剣に研究しています。おそらくこういったシナリオで宇宙が創生されたのではないかという説があります。

 でも、そういったことを考えられるのも、今という時代だからなのです!

 実際に約132億年前の星の観測に成功しています。でも、遠い星が見えないのであれば、誰もそんな観測をしようとは思わないのではないか。誰も宇宙論というものを研究しないのではないか。谷口先生はそんなことをおっしゃっていました。

 僕たちは恵まれた時代に生まれたわけですね。今の時代だからこそ、宇宙論の研究もできるし、宇宙がどのように誕生したのかの観測も(ある程度)できるのですから。話を聞いていて、「これは哲学だなぁ」としみじみ考えさせられました。

 そんな谷口義明先生から帯の推薦文をいただきました。

「宇宙人が教えてくれる世界一やさしい宇宙論かもしれない――」

 なんともありがたく、なんとも恐縮する言葉でございます。宇宙論を研究されている方々に申し訳なくなってしまいます。

 でも、宇宙の謎に少なからずは迫っているのはホントのところです。ビジネス書であり、自己啓発書でもあるのですが、実は宇宙論の本でもあるのです。宇宙のロマンやおもしろみを少しでも感じていただけたら嬉しいですね。とっても簡単に書いているので、是非宇宙の謎に触れてみてくださいませ。

『仕事の壁にぶつかった僕に、たとえば宇宙人なら何を教えてくれるだろう?』

http://www.amazon.co.jp/dp/4479772022/

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