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【1分小説】タイムマシーン

お題:タイムマシーン
お題提供元:スマホアプリ「書く習慣」より
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 タイムマシーン、と手書きで書かれた段ボールが居間に転がっていた。

 窓がくり抜かれており、箱の中にはこれまた手書きの操作盤がある。覗き込めば、優斗が体操座りで中にいた。

「出てきなさい。ご飯だよ」
「父さん」

 父さん?
 いつもはパパって呼ぶのに。

 優斗は顔をあげて俺の方を見た。いつもより妙に大人びて見えて、どきりとする。

「画家になるの、あきらめたんだね」
「優斗、おまえ」

 嫁にも話したことがないのに、なぜ。

「会ってきたよ。ぼくが生まれる前の父さんに」

 鼻をすする音。

「楽しそうに、お絵描きしてた。幸せそうだった。ぼくがいない時の方が」
「優斗」

 かがんで段ボールに入り、幼い子供を抱きしめる。

「そんなことない」
「うそつき」
「そんなことない。パパは、父さんは優斗がいてくれて幸せだよ」
「うそばっかり。絵を描きたいくせに、ぼくのせいにして、にげだして」

 優斗の涙で肩が濡れる。そうして濡れたところが冷えていく。

 ご飯、温め直さなきゃ。