モリタサユウ

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モリタサユウ

オリジナル小説やエッセイを書いています。泣いても笑っても、とにかく書き続ける。詳細はプロフィールのページをご覧下さい。

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  • 短編小説

    オリジナルの短編小説をまとめています。 お題を使用している場合は、作品の末尾に提供元を記載しています。 <更新頻度> 毎週日曜に定期更新。 加えて、気が向いたら不定期で投稿します。 <文字数> 作品の文字数を目安に、読むのにかかる大まかな時間を記載しています。 【1分小説】・・・600字以内 【5分小説】・・・600~3000字 【10分小説】・・・3000~6000字 【20分小説】・・・6000字~12,000字

  • おすすめ作品まとめ

    これまで投稿した自作小説およびエッセイの中から、おすすめしたい作品をまとめました。

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    随時更新。 なんてことない、ほっと息抜きできるようなひとときを。

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【5分小説】最期の詩【純文学】

<あらすじ> 死の床を迎えた老人が、ひとひらの詩を思いつく。しかし彼には、もう筆を執る力がなかった。 ==========================  ほんものの詩が、言葉が、今、ひらいたのだ。  ああ、このひとひらの言葉が生まれる瞬間を、生涯、どれほど待ちわびていたことか。  それはまるで、花のつぼみが、血色の花弁をひらくように。そしてその内側から、あたたかな薫香を立ち昇らせるように。  死の床で、彼は目をひらいた。その息づかいは、彼のいのちよりも一足早く、口元

    • 【1分小説】もう一度、桜を

      お題:桜散る -----------------------------------------------  地面に落ちていた桜の花びらが上へ吸い寄せられ、枝へ戻る。散っていたはずの桜が、みるみる満開へ戻っていく。 「いいのかなあ、こんなことして」 「うるさいな。ちゃんと話せば分かってくれるって 「ふうん」  使い魔の猫のマコマコは、どうせ怒られるよ、とでも言いたげに私を見上げる。  空を見上げる。上弦の月は静かに私の所業を見ている。  時間を戻しているのはこの学

      • 【1分小説】夢見る心

        お題:夢見る心 -----------------------------------------------  例えば「夢見る乙女」というと、窓辺で頬杖をついている少女。その目線は斜め上である。そんなイメージ、だよね?  例えば漫画で登場人物が何かを想像、あるいは妄想をするときも、その吹き出しは斜め上に出ることが多い。  極め付けは、「夢に向かって頑張ろう!」って言う時に指差すのは? 斜め上、だよね?  つまり、ええと何が言いたいかって。自分と夢との立ち位置って、斜

        • 【1分小説】春の憂鬱

          お題:快晴 -----------------------------------------------  どうせ楽しくない。分かっている。外に出たって何もいいことはない。  窓の外は快晴。憎らしいくらい。隣の公園は桜が見頃で、なんとも楽しげな笑い声が聞こえる。  卒業式に出られず、入学式へ出る予定もなく、宙ぶらりんのまま親と目を合わせることもできない私には、遮るもののない春の日差しはまぶしすぎる。  風が吹く。桜吹雪が舞い上がる。  開けていた窓の隙間から、花びら

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        【5分小説】最期の詩【純文学】

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          【1分小説】大好きな君に

          お題:大好きな君に -----------------------------------------------  大好きな君に、贈るものがない。  実はあったんだけど食べちゃって、ケーキ。  ケーキは美味しい。抗えなかった。  だからそもそも贈り物なんてなかったことにして、週末ちょっといいレストランでご馳走してごまかそう、と思っていたけれど。 「食べたでしょ」  なぜだ。包装紙は見えないように捨ててお皿も片付けて、もちろん口元に生クリームなんてつけてないか確認し

          【1分小説】大好きな君に

          【1分小説】雲で月を洗う

          お題:なし -----------------------------------------------  お母さんが雲で月を洗っている。  キッチンの椅子の上に立つと、それが良く見える。 「駄目だよルリ、降りなさい」  お母さんは洗い物をしながらそう言った。  いつもは「こら!」ってこちらに飛んでくるのに、今日はこちらを見ようともしない。  くしゅくしゅと揉みこんだスポンジから白い入道雲がわき立つ。キッチンの明かりの下で、カレーのお皿が白い月になる。さっき私が

          【1分小説】雲で月を洗う

          【1分小説】平穏な日常

          お題:平穏な日常 お題提供元:スマホアプリ「書く習慣」より -----------------------------------------------  平穏な日々だと思っていた。  編み物の途中でふと顔を上げると、シャボン玉がひとつ、リビングに浮かんでいた。  庭でフーコが遊んだものが紛れ込んだのだろう。  違う。フーコはもう成人して家を出て行った。  雪雄さんが庭で洗車した泡が入ったのか。  それも違う。雪雄さんは今病院に行っていて。  近所の保育園から、で

          【1分小説】平穏な日常

          【1分小説】星が溢れる

          お題:星が溢れる お題提供元:スマホアプリ「書く習慣」より -----------------------------------------------  星が溢れる。君の瞳から。 「なんかねえ、昨日から止まらないのよ」 「はあ」  スパンコールみたいなキラキラが、左目から右目から、ぽろぽろ、ぽろぽろ落ちてくる。 「なんでだろうね」 「やめなよ、目に傷がつくよ」 「だって」  目をこすると、星はパチパチと火花のように弾けて消えていく。  昨日夜通し泣いてたんでし

          【1分小説】星が溢れる

          【5分小説】泣きたい酔っぱらい

          お題:たった1つの希望 お題提供元:スマホアプリ「書く習慣」より -----------------------------------------------  ラーメンが食いたい。  アルコールで朦朧とした頭でぼんやり思った。  街路樹にもたれて夜風を感じていると、居酒屋から聞こえる喧騒も、雑居ビルの光る看板も、どこか他人事というか、別世界で起こっていることのように感じられた。  その世界の表層に、落ちきれないかさぶたみたいに、俺の存在がぺらりと乗っている。そんな感

          【5分小説】泣きたい酔っぱらい

          【1分小説】ブランコ

          ※微GL お題:ブランコ お題提供元:スマホアプリ「書く習慣」より -----------------------------------------------  「酔っ払ってブランコ漕いでるとさ、自分が揺らしているのか、世界に揺られているのか分からなくなるよね」と言っていた君はもういない。  児童公園のブランコ、二つ並んだブランコ。行きつけの居酒屋で飲んだ後、いつもそこで女二人でN次会をしていて。  そうして二人で並んで座っていると、まるで子供の頃から親友だったみた

          【1分小説】ブランコ

          【1分小説】この場所で

          お題:この場所で お題提供元:スマホアプリ「書く習慣」より -----------------------------------------------  荷造りが終わり、がらんとした部屋に寝転ぶ。  思えばここに引っ越してきた日も、こうして何もない床で寝転がったっけ。  大学から徒歩15分の、静かな6畳のワンルーム。ちっぽけな部屋だけど、実家を出て一人暮らしを始めた私にとっては初めて手に入れた自分だけの城で。  初めて自分でご飯を炊いた日。炊飯器の蓋を開けた時の喜

          【1分小説】この場所で

          【1分小説】チャック開いてるよ

          お題:伝えたい お題提供元:スマホアプリ「書く習慣」より ----------------------------------------------- 「ズボンのチャック開いてるよ」って伝えたい。  平日昼間、春の公園はのどかであたたかく、ブランコでは幼児がキャッキャして遊んでいる。  だからこそ彼に伝えたい。でも。  彼はまっすぐ私の目を見てこう言った。 「やっぱり俺たち、別れた方が良いと思う」  こんな別れ話の最中に言うのもなあ。  でも早く言わないと、恥ず

          【1分小説】チャック開いてるよ

          【1分小説】タイムマシーン

          お題:タイムマシーン お題提供元:スマホアプリ「書く習慣」より -----------------------------------------------  タイムマシーン、と手書きで書かれた段ボールが居間に転がっていた。  窓がくり抜かれており、箱の中にはこれまた手書きの操作盤がある。覗き込めば、優斗が体操座りで中にいた。 「出てきなさい。ご飯だよ」 「父さん」  父さん?  いつもはパパって呼ぶのに。  優斗は顔をあげて俺の方を見た。いつもより妙に大人びて見

          【1分小説】タイムマシーン

          【5分小説】あなたに届けたい

          お題:あなたに届けたい お題提供元:スマホアプリ「書く習慣」より ----------------------------------------------- 「着払いで」 「えっ」  それまで丁寧に対応してくれていた店員さんが、ぎょっと私を見た。  それもそうだ。バレンタインチョコを着払いで送るやつなんかいない。私以外には。 「ち、着払いって、その」  可愛らしい店員さんは、笑顔を取り繕うも動揺は隠せないようで、swimming eyes。そういえば小学生の時に

          【5分小説】あなたに届けたい

          【5分小説】好きな子の日記帳が置かれていたら

          お題:閉ざされた日記 お題提供元:スマホアプリ「書く習慣」より -----------------------------------------------  好きな子の日記帳が教室の机の上に無造作に置かれていたら、そりゃ読みたくなるでしょうよ。  たとえその日記帳の上に伏せた籠が棒に支えられて置かれていて、日記帳を手に取ったらカゴに捕まるタイプの罠だったとしても、籠くらいならすぐ脱出できるし、命に別状はないので大丈夫だと思う。  もしその籠が鉛とかでできていて、内側

          【5分小説】好きな子の日記帳が置かれていたら

          【1分小説】物理の先生と女生徒

          お題:どうして お題提供元:スマホアプリ「書く習慣」より -----------------------------------------------  どうして、って言われても、困る。  世の中には、理由が分からなくともそこに存在するものはあるし、物理はその事実の根拠を見つかるための学問ではあるが、未だ解明されていない謎も多い。  そもそも私たちを構成する最小単位の原子だって、なぜ陽子と中性子から成り立つのか、なぜ電子がその周りをうろうろしているのか結局のところ分か

          【1分小説】物理の先生と女生徒