もりやゆう

エッセイ『じゆうちょう』

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かがみの孤城【エッセイ】

お互い違う生活をしている中で、似たような不安や葛藤を抱いていた子がいた。毎日のように会っていたのは、僕もその子も、それぞれ自分の未来のことで悩んだり、今のことで苦しんだりしていた時期だった。 いつも会っていた場所は、本来、2人でしっかり勉強をしなくちゃいけないところだ。でも僕は、その子とは勉強することよりも「話すこと」を最優先にしていた。お互いの悩みや不安はもちろん、他愛もない話をすることも大切だった。 心の内をさらけ出して、心の底から笑える時間は僕にも、その子にも、そこ

    • じゆうちょう【エッセイ】

      授業中にこっそりとページをめくってみる。 そこには見よう見まねで描いてみたアニメのキャラクターに、意味のないラクガキ。決して上手とは言えないお絵描きの想い出がたくさん残っている。なるべく目立たないところには、好きな子の名前をこっそり書いた。ロマンチックに憧れて、おませな詩なんかも綴ってみた。 もしもこれがクラスのお友達に見られてしまったら。 「何この絵、ヘタクソ!」 「え、お前もしかして、あいつのこと好きなの?」 「このポエム、全然わかんないね」 きっとそんなこと言われて、

    かがみの孤城【エッセイ】