じゆうちょう【エッセイ】
授業中にこっそりとページをめくってみる。
そこには見よう見まねで描いてみたアニメのキャラクターに、意味のないラクガキ。決して上手とは言えないお絵描きの想い出がたくさん残っている。なるべく目立たないところには、好きな子の名前をこっそり書いた。ロマンチックに憧れて、おませな詩なんかも綴ってみた。
もしもこれがクラスのお友達に見られてしまったら。
「何この絵、ヘタクソ!」
「え、お前もしかして、あいつのこと好きなの?」
「このポエム、全然わかんないね」
きっとそんなこと言われて、顔を真っ赤にして落ち込んでしまうかもしれない。
ただお絵描きが好きなだけなのに、ちょっとおませな詩を考えるのが好きなだけなのに、誰かの目にそれが触れることが怖くなれば、自分が好きなことを手放してしまうかもしれない。
でも誰にどう思われたとしても、そこは何を書いてもいい、自分だけの世界。好きなことをたくさん磨いて、もっと好きになれる場所。好きなことに自信が持てるようになる場所。そして少しは上手になれる場所。
あの頃の『じゆうちょう』がそうであったように、僕はここでこれから、いろいろなものを描いていきたいと思う。いろいろな心を。
「ヘタクソ!」ってこともあるでしょう。
「全然わかんない」ってこともあるでしょう。
それでも、それよりも。
「その感覚、わかるよ」だとか、「その気持ち、あるよね」という共感を信じたい。
日常の何気ない景色や心を残すエッセイ。
そこには誰かへ向けたメッセージ性なんてなくても、思いがけず、誰かの心に寄り添い、救う可能性を秘めている。
僕は何度もエッセイに救われてきた。
だからと言って「今度は僕がたくさんの人を救う番だ!」なんて大きなことは言えないけれど。
僕はあの頃『じゆうちょう』に書いていたカラフルで、統一性のないお絵描きのように、いろいろな心をここに残していく。
そしてこの『じゆうちょう』は開けたままにしておくので、いつか何かが、あなたの心に寄り添えますように。
読んでくれてありがとうございます。
これからも、よかったら読みにきてください。
そしてあなたのお話も読ませてほしいなと思ってます。
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