東京二十三区女/長江俊和

https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344427945/


読了日2020/01/08

東京二十三区がいかに都会であるかは、日本人ならば誰もが理解していると思う。
でもはじめから、二十三区が都会だったわけじゃない。
二十三区にもかならず歴史がある。

二十三区の歴史における風俗、歴史などを現代パートと交互に噛み合わせながらひもとき、かつホラーのようにミステリアスに仕上げていく。

縁切り榎に夫が願掛けする理由。
消えた母と暗渠に呼び出された息子。
タクシー運転手に連れ回される秘密を抱えた男。
心霊写真に映る頭だけの女と夢の島。
処刑場をめぐる女性と見られている警察官。

現代パートではライターの女性と「先輩」の掛け合いが、その土地の伝承や民俗学的見地を教えてくれる。
こんなに繁栄した東京にも、数十年(場合によっては最近!)前まではこんなことがあったんだよ、と。

謎の先輩の正体はラストに明かされるものの、完璧ではない。
なぜ彼は主人公に講釈を語り、面倒を口にしながらも仕事先についてくるのか。

次巻で先輩について深く掘り下げられることを願って、読了。
あと二十三区と銘打つくらいなので、二十三区ぜんぶのお話が読みたいな。

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