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【書評】実務家ブランド論 片山義丈著

コミュニケーション分野で私が敬愛する巨匠のお一人、ダイキン工業の片山義丈さんの著書。

ダイキン工業は「空気で答えを出す会社」を企業スローガンに掲げた一連のコミュニケーション施策にて「PRアワードグランプリ2020」を受賞。

片山さんは、それを推進された中心人物。(そして、山田さん、ご無沙汰しています!)

PRアワードグランプリ受賞理由は、「自社の打ち出し方をしっかりと定め、コロナ禍のなかで『空気で答えを出す会社』という社会的存在意義を伝え、競合他社との鮮明な差別化を図ったこと。そしてこの取り組みはコーポレート・コミュニケーションが主体ではあるものの、商品の販売実績といったマーケティング的な成果にまで波及しており、企業評価を高めつつ、それがマーケティングにも寄与するというこれからの理想的なコミュニケーション」でした。

出典:アドタイ

何を隠そう、これぞ、「実務家ブランド論」で書かれている内容を実践し、実現した事例なのです。

ブランド の 土台 と なる ① 存在価値( ブランド アイデンティティ)② 約束( ブランド プロミス)③ 人格・個性( ブランド パーソナリティ) を 反映 し、あらゆる 接点 において、一貫 し た 情報 を 発信 する。この こと によって ブランド を つくっ て いき ます。

出典:実務家ブランド論 片山義丈著 

その 方程式 とは「 ブランド」 =「 情報」 ×「 接点」。「企業 からの 情報」 を「 生活 者 の 接点」 を通じて 伝える こと で「 生活 者 の 頭」 に「 ブランド」 が できる という 図式 です。

出典:実務家ブランド論 片山義丈著 

ブランド 実務家 は「 存在価値、 約束、 人格・個性」 を「 生活 者 の まわり に ある 情報 を 防ぐ バリア を 破る 情報」 に 変換 し て、「 3つ の メディア を すべて 使っ て 生活 者 の 頭 の 中 に 届ける」 こと で、「 ブランド を つくる」 こと に 取り組む の です。

出典:実務家ブランド論 片山義丈著 

ブランド づくり の 目的 は 儲ける こと で あり、儲ける こと を 忘れ た ブランド づくり は、 寝言・戯れ言 です。

出典:実務家ブランド論 片山義丈著 

片山さんは、アドタイのインタビューで、最後、この様に語っていらっしゃいます。

「空気で答えを出す会社」は、単なるPRのフレーズや広告のためのコピーではありません。ダイキンが「空気という分野において、あらゆる社会課題を解決するために存在している企業である」というブランドパーパスを表現しています。そしてこれは会社として本気で取り組まなければいけないこと、すなわち経営戦略を落とし込んだ言葉です。日本企業はブランドづくりが苦手ですが、正しい方法でおこなえば、どんな企業でもブランドはつくれます。統合型マーケティングコミュニケーションの旗印となり、広報も宣伝もマーケティングも、組織の枠を超えてコロナ下であっても迅速に行動できたと思います。

出典:アドタイ

「空気という分野において、あらゆる社会課題を解決するために存在している企業」という存在価値が組織内で共有され、「空気で答えを出す」という約束を、統合型マーケティングコミュニケーションという手法を用い、あらゆる接点を活用して生活者と共有していく。

本書の中では、実務家として必ずぶち当たる壁、それは、なぜ、起きるのか?どう解決して行けば良いか?という答えが、すべて書かれています。

まさに、ブランドやコミュニケーションの実務家にとっての必読書

逆に言うと、実務家ではない、単なる教養を求めている人は読んではいけない書籍である。とアマゾンでの一部の低評価コメントを読んで思いました。

著書「書く仕事がしたい」の中で佐藤友美さんが、下記の様に書かれており、まさに、この事例に当てはまると思います。

私 は、Amazon レビュー の 低 評価 を 読む のが わり と 好き なの です が、書籍 に関して は、 「 本来 届か なく て よい 読者 に 届い て しまっ た」 が、まま あり ます。
(中略)
ちなみに、 Amazon に関して いう と、 売れ て いる 本 ほど レビュー の 評価 が 低い という 相関関係 が あり ます。あまり 売れ て い ない 本 は、作家 の コア ファン にしか 読ま れ て い ない ので 星 5 つ になり やすい。 けれども、売れ て いる 本 は、ファン 以外 にも 届く。という か、ファン 以外 にも 届い た から こそ、売れ た わけ です。すると 当然、「 この 本 は タイプ じゃ ない」 と 感じる 人 も 多く なる。すると レビュー が 荒れ 始め、低 評価 が 増える。

出典:「書く仕事がしたい」 佐藤友美著

ブランドやコミュニケーションを担当し、組織内で中々思うようにリードできない、方向性を示せないとお悩みの実務家の方、是非、本書を手に取ることをお勧めします。

<おまけ>


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