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「サンクチュアリ聖域」は呪いのような家族愛に絡まった二人の力士のスポ根

Netflixドラマ「サンクチュアリ聖域」全8話を鑑賞。その感想を書きなぐる。

相撲の話なんだけど、めちゃくちゃヤンキーとヤクザとスポ根と陰湿なイジメを混ぜ合わせたような演出が多くって見応えがあった。

主人公の猿桜が、力士になりたてのヤンキー力士の猿桜が、生意気なのもあって相撲部屋でボコボコにかわいがりを受けながら成り上がっていく物語。キレイなスポ根じゃなくて、ちゃんと陰湿。

そこに政治部でやりすぎて飛ばされて相撲番になった女記者もいて、この女記者が色恋じゃなくて戦友みたいになっていくのがとても心地よい。

そして、女記者は帰国子女でアメリカの感覚でいるから、ハラスメントおばけでなんでもかんでもハラスメント認定。

旧態依然とした相撲部屋をぶっちゃけ冷笑してて、そこで不貞腐れてる。いつかは政治部に戻りたいとしか思っていない。でもそれが変化していくのが刺さった。

出てくる相撲部屋は5つ。主人公の猿桜のかつては名門いまは弱小の猿将部屋、猿桜のライバルである静内の虚空部屋、猿将親方と因縁の関係がありずっと嫌がらせをしてくる犬嶋部屋とその子分の馬山部屋、そして今一番ノッてる龍谷部屋。

これらの部屋同士が政治的な動きをするところもあって、そのあたりがヤクザ的な楽しさがある。

Wヒロイン「インテリ女と巨乳ビッチ」

ヒロインは女記者とクラブで知り合った巨乳のふたり。巨乳ははっきりいえば頭の悪いビッチで、猿桜にべたべた甘えるけど財布をスッたり、わりとメチャクチャ。

猿桜がたまたま見た卒業アルバムの自分の顔をぐちゃぐちゃにしてて、イジメられてたか、整形もしてるのか。いろんな闇を感じてしまう。

猿桜はこのビッチに基本的にべた惚れしてて、デートしたりするけどヤラせてはもらえない状態がずっと続けられる。どうみてもカモられてるんだけど、このビッチはビッチで、猿桜に恋のような依存のような執着のような感情をみせることもある。最終的にやべえやらかしをするんだけど。

もうひとりのヒロインの女記者はとことんツンデレ。本当に可愛くない態度ばっかりなんだけど、それが王道過ぎてめっちゃいい。相撲に対する態度も1話と最終話8話でがらりと変わっていくのも見てて気分がいい。顔もいい。

猿桜をめぐって、この二人が一度だけ顔を合わせてバチバチの女の戦いをするんだけど、それもドロドロとしててよかった。

新旧タニマチ「イキリIT長者と妖怪宗教教祖」

相撲のタニマチ文化にも触れてて、いわゆる個人的にスポンサーになる文化がある。

主人公の猿桜は成り上がりのベンチャー社長がタニマチになるんだけど、若者でちょけてて、ちょっと認識がズレてヒトを小馬鹿にしてるから、相撲取りを子分にするみたいな感覚まるだし。

猿桜はその態度が不快だけどカネはくれるからと飲み込むんだけど、最終的に決裂して猿桜がボコボコにしちゃう。でもそれが遺恨になってあとで意趣返しもある。そういうわかりやすい伏線は絶対拾ってくれるのが面白い。

龍谷部屋のタニマチが、本物の闇深いタニマチ。宗教団体の教祖なんだけど、いろいろと裏で動いたり、その動き方がガチのヤクザのやり方だったり、とことん挙動がキモかったりして、ブキミ。

人の暗部を暴いて仕事にするフリーライターも出てきて、そいつが依頼されて静内の過去を調べ上げるんだけど。最終的にはめっちゃいいように龍谷部屋のタニマチに扱われてて、タニマチのいい味を出す存在になってた。

ライバル静内と主人公猿桜の友情

猿桜も静内も借金苦で一家崩壊した家庭の出身。二人共、恨むべきような家庭なのに、そこに愛着をもってて、その呪いのような感情で相撲に打ち込んでる同士なのがとてもいい。

二人の出会いも印象的で、寡黙な静内とヤンキー特有のうざ絡みをする猿桜が、夜の公園の桜の下で顔を合わせる。会話は猿桜が一方的に話しかけてるだけなんだけど、ちゃんと仲良くはなっていて、そういうヤンキーとまじめくんみたいな仲良くなり方がすげえよかった。

はじめて両者が戦う取り組みが壮絶。静内は最強と名高い若手力士で、猿桜も強いんだけど、まったく手が出なくって、むごたらしい事件現場みたいな有様になる。

それでボロッボロで、歯は抜けるし耳ももげた猿桜は入院して、完全に心も折れてしまうんだけど。その後に、修行のターンがやってきて、なんなら弱小相撲部屋だった猿将部屋の全員が強くなっていくところは綺麗なスポ根。

景気づけのように一度はボコボコにされた馬山部屋の出稽古にリベンジをキメて、強さを確かめあってから猿桜が静内へのリベンジマッチに燃える。ここがいい。王道だけどこれでいい。

最終的にはロッキー2的な、主人公とライバルの戦いのはじまりでエンディングなんだけど、その時に今まで描き続けてきた猿桜と静内の背負う家族との絆が乗せられていく演出もあって、爽やかに終わった。

面白かった。

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