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昧爽

空が白んできた。

山の上だからだろうか、少し肌寒い。

あと少し…あと少し…と懸命に登ってきた。どこまで続くかも、なぜここにいるのかすら知らされぬ山道を。

ここにたどり着くまでどれほどの時が経ったのだろう。とても長かったような気もするし、あっという間だったような気もする。

あー帰りたい。

そう本音がこぼれた時、地平線の向こう側から全身を暖かさが包んでいた。

とても、暖かかった。

昧爽の時分、 あのなんとも言い難い感覚が、今でも時々名残惜しくなる。

山へ帰りたくなってきた。

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